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ソロー・モデルにおける黄金律(数式)

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投稿マクロ経済学中級
成長理論でのソロー・モデルにおける黄金律について、説明しています。
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はじめに

 ソロー・モデルにおいて、コブ・ダグラス型生産関数を考えたとき、定常状態においては、1人当たりの資本を$k^*$、1人当たりの産出量を$y^*$、1人当たりの消費量を$c^*$とすると、

  $\displaystyle k^* = \left( \dfrac{\delta + n}{s} \right)^{1/(\alpha-1)} \quad \cdots \quad (1)$

  $\displaystyle y^* = \left( \dfrac{\delta + n}{s} \right)^{\alpha/(\alpha-1)}$

  $\displaystyle c^* = (1-s) \left( \dfrac{\delta + n}{s} \right)^{\alpha/(\alpha-1)}$

 $n$:人口増加率、$s$;貯蓄率、$\delta$:資本減耗率、$\alpha$:資本分配率

を得ることができます(なぜこのようになるかは、「ソロー・モデルを解説(数式あり)」を見てください)。

 ところで、消費者にとって、最も大きくなるような消費水準が望ましいところですが、定常状態における消費はどうなのでしょうか。

 消費水準が最大になるような資本蓄積を「黄金律」と言いますが、定常状態と黄金律におけるそれぞれの資本蓄積が必ずしも一致するとは限りません。

 そこで、ここでは、黄金律に基づく資本などを求め、比較をしたいと思います。
 なお、ソロー・モデルに関する知識を前提としているので、よく分からないという方は、↓などを参考にしてください。

   ソロー・モデルの意味合いを、式計算なしで導出・説明します

   ソロー・モデルにおける重要なポイント(消費と貯蓄について)

   ソロー・モデルを解説(数式あり)

黄金律

 黄金律における資本を知るために、まずは消費について考えます。

  $c^* = (1 \; – \; s) y^* = y^* \; – \; s y^* = (k^*)^\alpha \; – \; (\delta + n) k^*$

 最も消費が大きくなる資本を知るため、この式を微分して、ゼロとすると、

  $\dfrac{d c^*}{d k^*} = \alpha (k^*)^{\alpha-1} \; – \; (\delta + n) = 0$

であり、式変形すると、

  $\displaystyle k^g = \left( \dfrac{\delta + n}{\alpha} \right)^{1/(\alpha-1)} \quad \cdots \quad (2)$

となります(なお、通常の定常状態の資本と区別するため、資本を$k^g$と表記しています)。

比較

 通常の定常状態における資本と黄金律におけるものを比較するため、$(1)(2)$式を再掲します。

  $\displaystyle k^* = \left( \dfrac{\delta + n}{s} \right)^{1/(\alpha-1)}$

  $\displaystyle k^g = \left( \dfrac{\delta + n}{\alpha} \right)^{1/(\alpha-1)}$

 2式の違いと言えば、$()$内の分母について、$s$か$\alpha$かの違いだけです。逆に言えば、$s=\alpha$でない限り、定常状態は、黄金律を達成することはできないことを示しています。

 そして、$s$と$\alpha$の大小について、場合分けして考えると、

  $s > \alpha$のとき、$k^* > k^g$

  $s = \alpha$のとき、$k^* = k^g$

  $s < \alpha$のとき、$k^* < k^g$

であり、文章で表すと、

  貯蓄率 > 資本分配率のとき、黄金律よりも、過剰に資本蓄積が生じ、消費は最大とならない

  貯蓄率 = 資本分配率のとき、定常状態における資本蓄積は、最大の消費をもたらす

  貯蓄率 < 資本分配率のとき、黄金律よりも資本蓄積は過少となり、消費は最大とならない

となります。

参考

  齊藤誠・岩本康志・太田聰一・柴田章久『マクロ経済学

  二神孝一・堀敬一『マクロ経済学

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