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定常状態における解の安定性(2変数の場合)

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投稿経済数学中級
2変数の場合における定常状態における解の安定性について、説明しています。
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微分方程式

 変数$x \, , \, y$について、次のような微分方程式があるとします。

  $\dfrac{d x}{dt} = f(x \, , \, y)$

  $\dfrac{d y}{dt} = g(x \, , \, y)$

 このとき、この微分方程式系が定常状態に対して、安定的であるかどうかを判定する手順を説明したいと思います。

手順

①定常状態を調べる

 まずは、微分方程式について、

  $\dfrac{d x}{dt} = f(x \, , \, y) = 0$

  $\dfrac{d y}{dt} = g(x \, , \, y) = 0$

として、定常状態$x^* \, , \, y^*$を求めます。

②偏微分する

 2つの微分方程式について、$x \, , \, y$で偏微分します。
 (なおそれぞれの偏微分を$f_x \, , \, f_y \, , \, g_x \, , \, g_y$と定義しています)

  $f_x(x \, , \, y) = \dfrac{\partial f(x \, , \, y)}{\partial x}$

  $f_y(x \, , \, y) = \dfrac{\partial f(x \, , \, y)}{\partial y}$

  $g_x(x \, , \, y) = \dfrac{\partial g(x \, , \, y)}{\partial x}$

  $g_y(x \, , \, y) = \dfrac{\partial g(x \, , \, y)}{\partial y}$

③定常状態を代入する

 偏微分したものに対して、定常状態を代入し、ヤコビ行列を作ります。

  $\begin{bmatrix}
f_x(x^* \, , \, y^*) & f_y(x^* \, , \, y^*)\\
g_x(x^* \, , \, y^*) & g_y(x^* \, , \, y^*)\\
\end{bmatrix}$

④固有値を求める

 ヤコビ行列について、固有値を$\lambda$として、次のように固有方程式を作ります。

  $\lambda^2 \; – \; (f_x + g_y)\lambda + (f_x g_y \; – \; f_y g_x) = 0$

 これを解いて、固有値$\lambda_1 \, , \, \lambda_2$を求めます。

  $\lambda = \lambda_1 \, , \, \lambda_2$

⑤固有値を判定する

 固有値により、次のような基準で、安定的か不安定であるかを判定することができます。

(固有値が実数のとき)
 最大固有値 < 0のとき、安定的  最大固有値 > 0のとき、不安定

(固有値が複素数のとき)
 固有値の実数部分 < 0のとき、安定的  固有値の実数部分 > 0のとき、不安定

参考

  大浦宏邦『社会科学者のための進化ゲーム理論

  西村和雄『経済数学早わかり

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