2つの不確実性
人々は、日々生活する上で、様々な不確実性に直面しています。
というより、未来・将来のことは分からない以上、そのほとんどは、不確実性に向き合って生きているともいえるでしょう。
しかし、この不確実性について、2つの不確実性があるとされています。
不確実と言っても、その確率が分かっている場合とそうでない場合があるからです。そして、この違いから、不確実性について、次の2つに整理されます。
リスク … 確率が分かっている不確実性
ナイト流不確実性 … 確率が分かっていない不確実性
そして、このナイト流不確実性の程度を、「曖昧さ」と言います。
主観的確率アマノリー
ところで、この2つの不確実性について、アマノリーがあることが知られています。
どちらも不確実であることは間違いないのですが、人は確率が分かる不確実性よりも、確率が分からない不確実性を回避しようとするという傾向があるというものです。
言い換えると、リスクよりもナイト流不確実性を避ける傾向があるということです。
そしてこれを「曖昧さ回避行動」や「主観的確率アマノリー」と言ったりします。
勿論、確率という情報が与えられた方を嗜好するとも言えますが、必ずしもそうではありません。
これを示す思考実験として、「エルスバーグのパラドックス」というものがあります。
エルスバーグのパラドックス
赤いボールと黒いボールがあり、壺の中にそれらのボールが入っており、1つボールを取り出すとします。
参加者は、取り出されたボールが赤色なのか黒色なのかを言い当てると100ドル貰えるとします。
壺は次のような2つあり、参加者は壺を選ぶことができます。
壺A : 赤いボールと黒いボールが50個ずつ入っている
壺B : 赤いボールと黒いボールが100個入っている
そうすると、壺Aを選ぶ人が多いというものです。
壺Aを選ぶ参加者 > 壺Bを選ぶ参加者
主観的確率アマノリーのポイント
壺Aを選んで、色を言い当てる確率は50%です。
ところで、主観的確率で考えれば、壺Bを選んだとしても、色を言い当てる確率は50%です。
すなわち、主観的確率で考えれば、どちらも同じ確率にも関わらず、人々は壺Aを選ぶ傾向があるということです。
上記の2つの不確実性で言い換えると、次のようになるでしょう。
壺A:リスク
壺B:ナイト流不確実性
そして、人々は、ナイト流不確実性を避ける傾向(曖昧さ回避行動)があることが見られます。
参考
大垣昌夫・田中沙織『行動経済学』