はじめに
人の選択や行動を望むように導きたいときには、通常は、命令などにより強制したり、報酬などのインセンティブを与えることが一般的な手法でしょう。
しかし、ナッジでは、そのような強制やインセンティブを与えずに、仕組み(選択アーキテクチャー)を導入して、他者が自ら望むような選択・行動を行うようにするというものです。
ところで、ナッジを導入しようとしたとき、実際にどのように設計をしたらいいかを迷うと思います。
ここでは、ベーシックなナッジの設計方法について、概要を説明しています。
BASIC
ナッジを設計するにあたって、便利なフレームワークとして、BASICというものがあります。
BASICでは、次の5段階でナッジの設計を考えます(BASICは、それぞれの段階のアルファベットの頭文字です)。
【第1段階】 行動(Behavior)
まずは、ある問題について、どのような行動をとっているかを調査します。
目標に至るまで、どのような細かな行動をとっているのかを、時系列的に調べていくことになります。
【第2段階】 分析(Analysis)
次に、その行動がどうして望ましい行動になっていないかというボトルネック(意思決定におけるバイアス)を、行動経済学的・心理学的に分析します。
【第3段階】 戦略(Strategy)
分析結果に基づいて、ナッジとしてどのようなものにするかという戦略・方法案を検討します。
特に、この戦略の検討にあたって重要なのは、本人が行動変容を意識的に望んでいるのか、そうではなく無意識的な状態なのかを区別することが大事とされます。
なお、いくつかのナッジの候補が挙げられるにあたって、EASTという評価基準があります。
EASTは、次の4つの評価基準で、候補となったナッジがどうなのかを見ます。
E(Easy):簡単、分かりやすいか、手間がかからないか
A(Attractive):注目を引くか、魅力的か
S(Social):社会的選好(同調効果、利他性、互恵性、社会規範)をうまく利用しているか
T(Timely):ナッジの介入やフィードバックが適切なタイミングで行われているか
【第4段階】 介入(Intervention)
戦略により、ナッジの候補を実験などの管理された状況で介入し、試してみます。
案として設計したナッジが、実験上で、実際に効果を発揮するかを検討します。このとき、ナッジを設計したとしても、偶々であったり、他の要因が行動変容につながっている可能性があるので、因果関係が重要となります。
【第5段階】 制度変更(Change)
そして、その裏づけのもと、実際に制度変更を行います。
最後に
実際に、どのように設計していったかについて、事例があります。
自治体ナッジシェア「事例集」
参考にしてみてください。
参考
自治体ナッジシェア「実践方法を学ぶ」