はじめに
消費者行動や生産者行動において、効用関数や生産関数が定義されますが、これらの関数は一般的に消費量や生産量が$0$からスタートするものとなっています。
例えば、効用関数ならば、
$u(x) \quad (x \geq 0)$
であり、生産関数ならば、
$f(L) \quad (L \geq 0)$
といった具合です。
ただし、消費者が消費を行うにあたり、最低限必要な消費量があるとしたら、この効用関数の定義は正しくありません。
生産者行動についても同様で、生産にあたり、最低限必要な生産要素があるとしたら、この生産関数は誤りとなります。
そこで、必要最低限の消費量や生産要素を関数に組み込んだものが、ストーン・ギアリー型の効用関数や生産関数になります。
ストーン・ギアリー型
ストーン・ギアリー型効用関数
$n$財を消費する消費者を考えます。それぞれの財の消費量を$C_i \; (i = 1 \, , \, \cdots \, , \, n)$とすると、ストーン・ギアリー型効用関数の効用$U$は、次のようになります。
$\displaystyle U = \prod_{i=1}^n (C_i \; – \; \gamma_i)^{\alpha_i}$
ここで、$\gamma_i$が$i$財の最低限必要な消費量の水準になります。
この式から明らかなように、対数化すれば、
$\displaystyle \ln U = \sum_{i=1}^n \alpha_i (C_i \; – \; \gamma_i)$
であり、線形化することが可能となっています。
ストーン・ギアリー型生産関数
効用関数と同様に、生産関数についても、ストーン・ギアリー型の関数を定義できます。
資本を$K$、労働量を$L$とすると、生産量$Y$は、次のようになります。
$Y = (K \; – \; \bar{K})^\alpha (L \; – \; \bar{L})^\beta$
コブ・ダグラス型の生産関数に似ていますが、最低限必要な生産要素$\bar{K}$と$\bar{L}$が入っています。
また、CES型の生産関数をベースにしたものも定義できます。
$Y = [\theta (K \; – \; \bar{K})^\rho + (1 \; – \; \theta)(L \; – \; \bar{L})^\rho]^{1/\rho}$
いずれも、$\bar{K}=0 \, , \, \bar{L}=0$とすれば、コブ・ダグラス型やCES型の生産関数になります。