パレート最適について、初級者向けに分かりやすく解説します

ミクロ経済学をはじめ、経済学を学ぶと出てくる「パレート最適」(パレート効率性)。しかし、初級者にとっては、イメージがつきにくいかと思います。そこで、初級者向けに例を挙げながら、説明します。

概要

 パレート最適(Pareto optimum)とは、パレート効率性(Pareto efficiency)とも呼ばれるもので、経済学においては、非常に重要な概念です(なお、パレートとは昔のイタリアの社会学者の名前です)。

 ミクロ経済学は勿論、マクロ経済学やゲーム理論など、理論系の経済学の分野においては欠かすことのできないものであり、この概念を学ばなければ、経済学について理解するのは難しいでしょう。

 ただ、教科書的に定義を読んだところで、初級者にとっては、どうもイメージが付きにくいかと思います。
 そこで、まずは定義を再確認した上で、イメージ例を交えながら、説明したいと思います。

パレート最適の定義

 まずは、パレート最適の定義を確認しておきましょう。
 パレート最適とは、次のようなものです。

  「ある経済状況において、他の個人の効用を下げなければ、いかなる個人の効用も上昇させることができない状態」

 どうも、そもそも日本語として、難しいです!
 ですので、この定義はいったん置いておいて、例で説明したいと思います。

例1

 1個のスイカを男女2人に分けるとしましょう。

【2人半分ずつ分けた場合】
 もし男性のスイカの量を増やそうとしたときには、男性としては効用は上がりますが、女性のスイカの量を減らす必要があります。
 そうなると、女性としては食べる量が減り、効用が下がってしまいます。

 逆に、女性のスイカの量を増やそうすれば、同様に男性の効用が下がります。

  

 このように、一方の効用を上げようとすると、もう片方の効用を下げる必要があり、現状のままが一番よいということになり、「パレート最適」と言えます。

【2人に1/4ずつ分けた場合】
 同じ量を2人に分けるとしますが、それぞれ1/4ずつ分けるとします。
 このとき、スイカが半分余ってしまいます。

  

 この余った半分のスイカを男性か女性に分ければ、いずれかの効用を上げることができます。
 この点で、この配分は改善の余地があり、「パレート最適ではない」と言えます。

【男性に3/4、女性に1/4分けた場合】
 男性のほうが量が多く不公平と言えるでしょう。
 ただこの状態から、女性のスイカの量を増やすには、男性のスイカの量を減らすしかなく、男性の効用は下がってしまいます。
 当然ながら、更に男性のスイカの量を増やそうとすると、一層女性のスイカの量を減らすしかありません。

  

 ある意味、不平等ですが、一方の効用を上げようとすると、もう片方の効用を下げる必要があり、「パレート最適」と言えます。
 (なお、なお「不平等」と言いましたが、最初から男性が多く食べたく、女性が少量でよければ、この配分も不平等とは言えないでしょう)

例2

 ゲーム理論で有名な「囚人のジレンマ」を考えましょう。
 これは2人が共犯である罪を犯し、別々の部屋に尋問にかけられている場合を考えます。このとき、黙秘をするか自白をするかで刑期が変わってきます。

  ・2人とも「黙秘」を続ければ、刑期は1年
  ・一方が自白を、もう一方が黙秘をすれば、自白した者は刑期は0年、黙秘をした者は刑期が5年
  ・2人とも「自白」をすれば、刑期は3年

とします。これを利得マトリックスで表すと、下表のようになります(刑期なのでマイナスにしています)。

囚人B
黙秘 自白
囚人A 黙秘 -1:-1 -5: 0
自白  0:-5 -3:-3


 このとき、2人とも「黙秘」をしている状態を考えましょう。このとき、一方が自白をすれば、その人の刑期は0年になります。しかし、黙秘を続けた人は刑期が1年から5年に延びてしまいます。

 このことから、2人とも「黙秘」をしている状態においては、1人が自白をすれば、もう1人の効用は下がってしまいますので、この状態は「パレート最適」といえます。
 (なお、ゲーム理論について、ご存じならば、両方が「自白」をする状態は、ナッシュ均衡です)

まとめ

 できるだけわかりやすく、パレート最適について、イメージを交えながら説明しましたが、いかがでしたでしょうか。

 スイカの例で分かるように、このパレート最適の概念は、資源を余らせないというイメージにもなります。この点で、資源の配分を考える経済学らしい考えとも言えるでしょう。

 いずれにせよ、パレート最適は、経済学の理論を勉強するにあたり、重要な概念ですので、しっかりと覚えておく必要があります。

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