囚人のジレンマについて、現実にありそうないくつかの例を挙げてみました

最初にゲーム理論を学んだときに出てくるのが「囚人のジレンマ」。囚人のジレンマの話だけでもイメージはつくかもしれませんが、他に現実にありそうな例をいくつか挙げてみました。

概要

 ゲーム理論の定番として出てくるのが「囚人のジレンマ」です。

 囚人のジレンマの話自体、人間が合理的・利己的に行動した結果、不幸な結果になるという現象を表しており、面白い話だと思います。
 (なお、ゲーム理論では、他にもいろんなものが出てきます。「ゲーム理論における基本的なゲームまとめ」で他のものもまとめています)

 ただ、「囚人」という設定であるため、中々、私たちが暮らす現実に当てはまるのかという気がします。
 また、入門者にとっては、囚人のジレンマの話だけでは、イメージがつきにくいかもしれません。

 そこで、囚人のジレンマと同じようなことで、現実にありそうな例をいくつか挙げてみました。
 若干、囚人のジレンマに当てはめるため、ちょっと現実とはズレているかなという例もあるかもしれませんが、説明します。

囚人のジレンマ

 例を挙げる前に、念のため、そもそもの「囚人のジレンマ」について、説明します。

 ある2人の共犯の囚人がおり、それぞれ尋問を受ける状況を考えましょう。

 両方が黙秘を続ければ、大きな証拠はつかめないので、刑は1年で済むとします。逆に、両方自白すれば、刑を認めることになるため、黙秘よりも刑は重くなり、刑は3年になるとしましょう。

 このとき、片方の囚人だけが自白すれば、自白した囚人は刑を免れますが(刑は0年)、もう1人の囚人の刑は黙秘を続けたため5年になるとします。

 この状況では、協力し合えば、両方とも黙秘を続け、刑を1年で終わらせるというのがよい選択かもしれませんが、絶えずどちらの囚人も自白の誘惑に駆られるので、両方の囚人が自白をして、刑は3年になってしまいます。

 これを利得マトリックスで表すと、下表のようになります。それぞれの左側の数値は囚人Aの刑期、右側の数値は囚人Bの刑期を表しています(刑期なので、負の利益ということでマイナスで表しています)。

囚人B
黙秘 自白
囚人A 黙秘 -1:-1 -5:0
自白 0:-5 -3:-3

 本来は、協力し合えば、よりよい状況が生まれるのに、各自が独自の利得を求めた結果、協力し合ったときよりもよくない状況になるというものです。

 上記のような囚人のジレンマですが、現実的にありそうなものとして、いくつか例を挙げたいと思います。

価格競争

 ある2つのお店を考えます。それぞれのお店は近隣にあり、競合店です。

 価格競争をしなければ、両社は売上を分け合い、一定の売上100万円を確保できるとします。

 ただ、そのうち1店だけ価格を引き下げたとき、その店は売上が200万円まで伸び、もう1店は売上が50万円まで減るとします。価格を引き下げた店により多くの客が集まり、もう1店は価格が高いままなので、客が減るからです。

 この結果、もう1店も価格引き下げを行わざるを得ず、両店とも売上が80万円になるとすると、本来は価格競争しないほうがいいのに、価格競争をしないときよりも、売上の減少を招くことになります。

店舗B
維持 引下げ
店舗A 維持 100:100 200:50
引下げ 200:50 80:80
芸人のコンビ解散

 あるコンビ芸人を考えます。2人で活動すれば、収入は500万円ずつ分け合うことになるとしましょう。
 ただ、そのうち1人がピンでも活動すれば、コンビとしての収入は200万円になりますが、ピンでの活動で400万円収入が増え、計600万円の収入になるとします。他方、その相方のほうはコンビの仕事しかなく、収入は200万円に減ります。
 この結果、もう1人のほうもピン活動をはじめますが、コンビでの活動はできなくなり、それぞれ収入が400万円ずつになります。

芸人B
コンビ活動 ピン活動
芸人A コンビ活動 500:500 200:600
ピン活動 600:200 400:400

 現実は、片方だけ売れているとかあると思いますが、このような状況はあるのではないかと思います。
 (むしろ、音楽のバンドを考えたとき、そのうち1人ソロデビューし、一時的には売れるが、その後はヒット曲が出せず、バンドにも戻れないみたいな状況のほうがが当てはまるのかもしれません)

レギュラー争い

 部活でレギュラー争いをしている2人がいるとします。

 両方で切磋琢磨すれば、2人ともレギュラーになれる可能性が50%ずつあるとします。
 しかし、1人がもう1人の練習などを邪魔をすれば、その人はよりレギュラーになれる可能性が80%に高まるとし、もう1人はレギュラーになれる可能性が20%に落ちるとします。
 その結果、両者で足の引っ張り合いをして、両社ともレギュラーになれる可能性が30%に落ちるというものです。

選手B
切磋琢磨 足を引っ張る
選手A 切磋琢磨 80:80 20:80
足を引っ張る 80:20 30:30
告白

 相思相愛で惚れあっている男女がいるとしましょう。ただ、それぞれ相手の気持ちは分からないとします。

 ただ両者とも、告白するのは恥ずかしいため、相手に勇気を出してもらって、相手から告白してほしいと思っています。このとき、自分だけが告白するのは、自分だけ恥ずかしくリスクを負い、逆に相手は告白されるとうれしいので得になるとしましょう。

 そうすると、男女がともに告白すれば結ばれますが、両者とも断られるリスクを恐れて、結局は告白しないこととなってしまいます(ただし、傷つくリスクがないという点で、一方だけが告白するよりは、利益は大きい)。

 数字としては、適当ですが、それぞれの利得(気持ちのよさ・不快さ)は、次のような感じでしょうか。

告白 何も言わない
告白 3:3 -1:5
何も言わない 5:-1 0:0
給食費未納

 2人で給食費を払う状態を考えます。2人とも払えば、それぞれ300円ずつ負担することにしましょう。

 しかし、そのうち1人が払わないとすると、その人は0円、もう1人は2人分の600円負担することになります。

 この結果、2人とも払わないほうが得となり、給食費は支払われず、給食は停止なり、弁当を用意する必要が出てきて、弁当代500円を負担することになります。

親B
支払う 支払わない
親A 支払う -300:-300 -600:0
支払わない 0:-600 -500:-500

 むしろ、フリーライダーの問題かもしれませんが、一方が自己中心的に考えたとき、もう1人も自己中心的にならざるを得ず、よくない状況に導かれるといった感じです。

家事

 夫婦で家事を分担したほうがいい状態にあるとします。しかし、もう1人だけ家事をやってもらったほうが楽でしょう。その結果、夫婦ともに家事をやらなくなるという状況です。

 一般的には、このようなことはないかもしれませんが、喧嘩している夫婦ならば、このような状況はありえるでしょう(喧嘩中の夫婦が、流し台の洗い物を放置している状態など)。

部署間競争

 ある会社において、2つの営業部隊がおり、各地域のエリアを担当しているものとします。

 そこで、そのうちの1つの営業部隊が成果を伸ばすため、もう一方のエリアにも営業を仕掛けたとします。そうすると、その営業部隊は成績を伸ばすことができますが、もう一方の営業部隊は自分の縄張りが侵され、成績はダウンします。

 この結果、両方の営業部隊が、自分の担当エリアを無視して、営業を仕掛けることになり、しかも営業範囲が広くなるため、それぞれの営業部隊は成績が下がるような状態です。

 ここでは、営業部隊で説明しましたが、1つの会社内で、本来は協力したほうがいいが、自分の部署の利益を追い求め、結果、成果が下がっている状況というのは、よくあることではないかと思います。

まとめ

 若干、強引な例も挙げましたが、いかがでしょうか。

 本来は協力したほうがいいが自分の利益を重視して、その結果、よくない状況がもたらさせるというのは、よくあることだと思います。

 他にも例は考えられると思いますが、参考にしていただければと思います。

ゲーム理論
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Econome
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