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景気循環の難しさとRBC(実物的景気循環論)

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投稿マクロ経済学初級
経済学において、景気循環の問題とRBC(リアルビジネスサイクル論)の意義について、書いています。
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景気について

 日常生活において、「景気」という言葉が当たり前のように使われ、

  「景気には波がある」

と言われたりもします。

 日本の経済史・歴史を見れば、神武景気、なべ底不況、岩戸景気、証券不況などなど、好景気と不況が繰り返されているように思います。

 近年でも、(失われた20年・30年という話がありますが)リーマンショック・東日本大震災後に、戦後最長の景気拡大があったなどという話もあります。

 このように、経済には波やサイクルがあるというのは、一般的な認識だと思います。

 経済学的に考えても、データ・実証から見出されたキチン波・ジュグラー波・クズネッツ波・コンドラチェフ波などがあるとされ、景気には波・サイクルがあるというのは、当たり前の考えでしょう。
 (それぞれの波については、「景気循環の4種類の波」を見てください)

景気循環の難しさ

 ところで、これを理論(数式モデル)で説明しようと思うと、難しい面が出てきます。

 なぜならば、

  ・経済学のモデルは、均衡を前提としていたり、不均衡であっても均衡にそのまま向かうことを想定しているため、その途中で、波や揺らぎが生じる可能性がない

  ・数学的には、三角関数やフーリエ級数などを用いれば、波・サイクルを表現できるが、そもそも波・サイクルがあることを前提としており、個人・企業などの行動の結果、波・サイクルが生じたことを説明できない

  ・実証的には何となくは分かるが、そもそも景気循環が生じる原因・エンジンは何かが分からない

といった問題があるからです。

RBC(リアルビジネスサイクル論)

 上記に、景気循環を理論(数式モデル)で説明しようとして、中々どうにもなりません。

 この点で、1つの答えを出した(出そうとした)のが、RBC(リアルビジネスサイクル論)だと思います。

 RBCでは、ランダムな技術進歩などにより、景気循環が生じるとされます。

 技術進歩という意味付けは別として、確率・ランダムという要素をモデルに入れることで、モデルに揺らぎを導入し、景気循環を表現していると言えるでしょう。

 もちろん、(実証的にはその当てはまりの良さがあったりもしますが)

  ・技術進歩などが景気循環を本当にもたらすのか

  ・均衡は本来、変化しないものであるにもかかわらず、均衡が絶えず変化し、均衡から別の均衡へ移るようなモデルになっている

などという話もあります。

 確かに、景気の「気」は気分の「気」とも言われるように、技術進歩などが景気を左右しているとは考えにくい部分があります。

とはいえRBC

 現在のマクロ経済学においては、DSGE(動学的確率的一般均衡モデル)というものが重要になっています。そして、このDSGEは、RBCから発展してきた理論であり、DSGEを学ぶにはRBCの理解は必須と言えるでしょう。

 ただ個人的に思うのは、RBC(実物的景気循環論)の名が示すように、RBCが景気という問題を考えたのとはズレが生じているように思います。

 結局は、

  「景気循環はなぜ生じるのか」

という問題は、(私が知る限りですが)パズルのままで、理論的に考えたとき、非常に難しい問題のままだというように思っています。

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