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マンデル・フレミング・モデルの基本

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投稿マクロ経済学初級
マクロ経済学の開放経済において出てくるマンデル・フレミング・モデルについて、その基本を説明しています。
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はじめに

 マクロ経済学や国際金融論について学ぶと、マンデル・フレミング・モデルが出てきます。

 外国との貿易を組み込んだIS-LMモデルであることは分かるのですが、少しややこしい感じがします。

 為替の話が出てきたり、資本移動の話が出てきたり、似たようなことを色々と言っているような気もします。

 そこで、マンデル・フレミング・モデルについて、基本的なモデルについて説明します(変動相場制の小国モデル)。

 ただ、IS-LMモデルについては分かっていることが前提なので、注意してください。

マンデル・フレミング・モデルのポイント

 マンデル・フレミング・モデルがややこしいと感じるのは、いくつかのポイントを押さえていないからではないかと思います。
 そこで、マンデル・フレミング・モデルのポイントをいくつか説明します。

重要店

 マンデル・フレミング・モデルは、IS-LMモデルを前提にしています。

 そのため、IS曲線やLM曲線が変化したり、金利などのパラメーターが変化したとき、どうなるかが議論されます。

 ただ、IS-LMモデルにおいて、金融政策や財政政策を行ったときにどうなるかが、大きな論点であるように、マンデル・フレミング・モデルもこの点が非常に重要になります。

 なので、逆に、金融政策や財政政策を行ったとき、閉鎖経済(貿易なし)と開放経済との効果の違いが比較されたりもします。

パターン

 マンデル・フレミング・モデルにおいて、色々なパターンが出てきますが、次のいずれかで場合分けされます。

  ・小国か大国か

  ・変動相場制や固定相場制か

  ・資本が自由に移動可能かそうではないか

 パターンにより結論は異なってくるのですが、まずは基本を押さえる必要があるので、次のパターンがマンデル・フレミング・モデルの基本だと考えればと思います。

  ・小国

  ・変動相場制

  ・資本が自由に移動

モデルの違い

 閉鎖経済におけるIS-LMモデルとマンデル・フレミング・モデルの違いは、ある意味、1点だけです。

 まず、LM曲線は、次のような形であり、閉鎖経済のものと変わりはありません。

  $\dfrac{M}{P} = L(i \, , \, Y)$

  $M$:貨幣供給、$P$:物価、$L(i \, , \, Y)$:貨幣需要、$i$:利子率、$Y$:総生産

 次に、IS曲線は、

  $Y = C + I +G + NX$

  $C$:消費、$I$:投資、$G$:政府支出、$NX$:純輸出

です(簡略化のため、租税はないとします)。式から、閉鎖経済のものと異なるのは、輸出から輸入を差し引いた純輸出$NX$が加わっている点です。

純輸出

 マンデル・フレミング・モデルで付け加えられた純輸出については、為替レート$e$により決まり、$e$が大きくなれば(減価・円安)、純輸出は増え、$e$が小さくなれば(増価、円高)、純輸出は減少すると考えます。

 更に、為替レートは、自国と海外の金利の違いにより決まるとして、海外よりも金利が高いときには自国に資金が集まるので、$e$が小さくなり(増価、円高)、海外よりも金利が低いときには海外に資金が集まるので、$e$が大きくなる(減価、円安)と考えます。

 すなわち、金利の差で為替レートは変わり、その結果、純輸出も変わるというプロセスを経ると考えます。

  海外の金利 > 自国の金利 ⇒ 為替レートは減価・円安 ⇒ 純輸出は増加

  海外の金利 < 自国の金利 ⇒ 為替レートは増加・円高 ⇒ 純輸出は減少

マンデル・フレミング・モデル

 以上を踏まえ、マンデル・フレミング・モデルについて考えてみましょう。

 まずは、資本が自由に移動し、小国の仮定から、自国の利子率は、海外の利子率と同じになると考えます。

  自国利子率 = 海外利子率

 以上を踏まえ、マンデル・フレミング・モデルについて、図示したものが下図です。



 通常のIS-LMモデルに加え、左側に為替レートと利子率の関係を表した図が加わっています(教科書の中には、純輸出を加えたものもあります)。

 左側の為替レートと利子率の関係については、利子率が低いときは為替レートは減価・円安になる($e$は大きくなる)ので、右上がりの線になっています。

 以下より、金融政策と財政政策の効果を考えたとい思います。

金融政策

 まずは金融政策について考えるものとして、政府は、貨幣供給量を増やしたとします。
 このときのプロセスを図示すると、次にようになります。



 貨幣供給量が増えるので、LM曲線は右下にシフトし(LM → LM’)、自国においては均衡がE’に移動することになります。そして、貨幣供給量を増やしたので、一時的に利子率が低下し(i* → i’)、為替レートは減価します(e* → e’)。

 為替レートが減価するので、純輸出が増加することになり、IS曲線は右上にシフトします(IS → IS*)。IS曲線が右上にシフトすると同時に、自国の利子率が上昇し、為替レートも増加していきます。そして最終的には、外国の利子率と自国の利子率が等しくなるような水準まで、IS曲線はシフトし、総生産は$Y*$となります。

 すなわち、この場合の金融政策は、貨幣量供給によるLM曲線のシフトと、純輸出増加に伴うIS曲線のシフトで、総生産は増加することになります。

 (プロセスまとめ)
  ①LM曲線シフト(貨幣供給量増加)
  ②自国利子率低下
  ③為替レート減価
  ④IS曲線シフト(純輸出増加)
  ⑥総生産は増加

 小国で変動為替相場におけるマンデル・フレミング・モデルでは、金融政策は有効となります。

財政政策

 次に財政政策として、政府支出を増加させる場合を考えます。
 このときのプロセスを図示すると、次にようになります。



 政府支出が増えるので、IS曲線は右上にシフトします(IS → IS’)。
 これにより、自国利子率は、外国の利子率よりよりも一時的に高くなり(i* → i’)、為替レートは増価します(e* → e’)。
 為替レートが増加したため、純輸出は減少し、IS曲線は左下にシフトをしていきます。これは、自国利子率が海外利子率に等しくなるまで続き、元の総生産に戻ります。

 すなわち、政府支出の増加で一時的に総生産は上がりますが、利子率上昇・為替レート増価を通じて、純輸出が減少し、総生産は元に戻るということになります。

 (プロセスまとめ)
  ①IS曲線シフト(政府支出増加)
  ②自国利子率上昇
  ③為替レート増価
  ④IS曲線シフト(純輸出減少)
  ⑥総生産は元に戻る

 小国で変動為替相場におけるマンデル・フレミング・モデルでは、財政政策は無効となります。

まとめ

 以上より、小国で変動為替相場のもとでは、

  金融政策は有効

  財政政策は無効

ということになります。

参考

  佐々木百合『国際金融論入門

  中村保・北野重人・地主敏樹『マクロ経済学

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