概要
マクロ経済学において、生産要素などによる成長率への貢献度を計測するものとして、成長会計があります。
産出量を 、技術進歩を
、資本を
、労働力を
としたとき、成長会計は次式で表すことができます。
このときどうしたら、このような式になるのかという疑問があるかと思います。
そこで、この成長会計について、導出方法を説明したいと思います。
結果は同じなのですが、2つの導出方法を説明します。
前提
導出にあたり、コブ=ダグラス型を仮定すると、生産関数は、次のようになります。
これを対数化すると、
が得られます。
この式をベースに、成長会計を導出していくことになります。
このとき、時間差をもとにする方法と微分を使う方法の2つがあります。
導出方法1
式について、
期のものを考えると、
となり、 式と
式の差をとると、
が得られます。
ここで、対数の差については、 という近似式が成立するので、
となります。
そして、 と考えると、上記の成長会計が得られます。
なお、対数の差に関する近似については、「対数の近似式について」を参考にしてください。
導出方法2
対数の時間微分を考えたとき、 という式があるため、これを
式に適用すると、
となり、成長会計の式が得られます(上記の成長会計の式は、 を省略した形です)。
なお、対数の時間微分に関する公式については、「時間微分した変化率・成長率について」を参考にしてください。
まとめ
どちらの解法・導出方法も、近似式を使ったり、公式を使ったりするので、注意が必要ですが、覚えてしまえば、たいしたことはありません。
数学的にも簡単であり、他にも使うことがあるので、是非とも導出方法は覚えておいてください。
参考
齊藤誠・岩本康志・太田聰一・柴田章久『マクロ経済学』