マクロ経済学において、消費関数がどのようなものであるかを考える必要があります。
消費関数は短期と長期では違うことが知られる中で、ケインズ型消費関数では、短期と長期ではその違いを説明できません。
そこで、フリードマンによって提唱されたのが、この「恒常所得仮説」です。
恒常所得仮説においては、毎期得られるような恒常所得$Y_P$と、一時的にもらうような変動所得$Y_T$があると考えます。恒常所得の例としては、毎期もらえるような給料であり、変動所得は宝くじが当たった、不動産を売却したなどの臨時的なものを想定しています。
その上で、可処分所得を$Y_D$とすると、
$Y_D = Y_P + Y_T$
となります。
ただ、消費$C$に関しては、変動所得は影響を受けず、貯蓄に回され、消費は恒常所得のみに依存するものとして、
$C = k Y_P$
と考えます。$k$はパラメーターです。
このとき、平均消費性向については、次のような式になります。
$\dfrac{C}{Y_D} = \dfrac{C}{Y_P + Y_T}$
短期的には$Y_T$の影響はあるでしょうが、長期的には、プラスの変動所得とマイナスの変動所得がある中で、$Y_T$はゼロと考えられます。
以上から、平均消費性向は、短期と長期で異なることになります。
短期:$\dfrac{C}{Y_D} = \dfrac{C}{Y_P + Y_T}$
長期:$\dfrac{C}{Y_D} = \dfrac{C}{Y_P}$
参考
福田慎一・照山博司『マクロ経済学・入門』