はじめに
マクロ経済において様々な変数がありますが、景気の影響は、それらの変数に徐々に波及していきます。
そのため、変数が変化するにあたり、それぞれの変数で時間的なズレが生じます。
なので、景気がいいのか悪いのか、今後はどうなるのかといった判断をするにあたり、どの変数を見たらいいかが分からなかったり、どのように判断したらいいか迷うことがあります。
そこで、総合的に景気を判断できる指標があると便利ということで、いくつかの指標がつくられており、その代表として、内閣府が毎月発表している「景気動向指数」があります。
内閣府「景気動向指数」
景気動向指数
景気動向指数は、景気の現状把握や将来の予測に資するために、内閣府が作成している指標です。
いくつかの統計データ(採用系列)を指数化して、それらをまとめて、指標化しています。
景気動向指数には、CI指数(コンポジット・インデックス)・DI指数(ディフュージョン・インデックス)・DI累積指数の3つの指数があります。
CI指数 … 採用系列の前月と比べた変化の大きさを合成して作成した指数
DI指数 … 採用系列の各月の値を3ヶ月前と比べ、変化方向がプラスである系列数の割合を%で示した指数
累積DI指数 … DIの値から50を引いた月々の値を累積したもの
CI指数では、指数化された採用系列を平均するなどし、基準年を100として、現在の景気がどうであるかなどが公表されています。DI指数は、CI指数とはやや異なり、系列数をベースに指標化したものとなっています。
更に、それぞれの指数には、先行指数・一致指数・遅行指数があります。
先行指数 … 景気の動きに対し、先行して動く指標
一致指数 … 景気の動きに対し、一致して動く指標
遅行指数 … 景気の動きに対し、遅行して動く指標
先行指数は将来予測、一致指数は現状把握、遅行指数は景気の転換点の把握などに、利用されます。
なお、それぞれの指数については、次のような系列が用いられ、指数化されています。
指数 | 採用系列 |
---|---|
先行指数 | 最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、鉱工業用生産財在庫率指数(逆サイクル)、新規求人数(除学卒)、実質機械受注(製造業)、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数(42種総合)、マネーストック(M2)、東証株価指数、投資環境指数(製造業)、中小企業売上げ見通しDI |
一致指数 | 生産指数(鉱工業)、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、労働投入量指数(調査産業計)、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(小売業)、商業販売額(卸売業)、営業利益(全産業)、有効求人倍率(除学卒)、輸出数量指数 |
遅行指数 | 第3次産業活動指数(対事業所サービス業)、常用雇用指数(調査産業計)、実質法人企業設備投資(全産業)、家計消費支出(勤労者世帯、名目)、法人税収入、完全失業率(逆サイクル)、きまって支給する給与(製造業、名目)、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)、最終需要財在庫指数 |
まとめ
以上から、景気動向指数においては、次の9つの指数が公表されていることになります。
先行指数 | 一致指数 | 遅行指数 | |
---|---|---|---|
CI | CI(先行指数) | CI(一致指数) | CI(遅行指数) |
DI | DI(先行指数) | DI(一致指数) | DI(遅行指数) |
累積DI | 累積DI(先行指数) | 累積DI(一致指数) | 累積DI(遅行指数) |
また、一致指数については、一時的な要因で変化もしやすいことから、次のような「CI一致指数の基調判断」も公表されています。
・改善
・足踏み
・局面変化
・悪化
・下げ止まり
参考
内閣府「景気動向指数」