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自国と外国の利子率と物価の関係(フィッシャー効果)について

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投稿国際金融論中級
自国と外国の利子率と物価の関係において、フィッシャー効果というものがあります。このフィッシャー効果について、説明します。
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相対的購買力平価

 自国と外国の物価の変化率を$\dot{P} \, , \, \dot{P}^*$とし、為替レートの変化率を$\dot{s}$とします。
 このとき、相対的購買力平価は、次のような式で表されます(相対的購買力平価については、「購買力平価(PPP)の説明と導出方法」を参照)。

  $\dot{P} \; – \; \dot{P}^* = \dot{s}$

 ここで、ドットは変化率を表しており、$X$でいえば、$\dot(x) = \delta X / X$という形です。

 この相対的購買力平価は、自国と外国の物価上昇率の差が為替に反映されると考えるものです。

 ただ、物価は通常、長期的には変化しますが、短期的にはあまり変化はしません。このことから、購買力平価は長期的な為替レートを想定していると言えます。

フィッシャー効果

 相対的購買力平価の式を将来の期待値の式で表すと、次のような式になります(これを「予想相対的購買力平価」と言います)。

  $\dot{P}^e \; – \; \dot{P}^{*e} = \dot{s^e}$

 ところで、カバーなしの利子平価の式は、自国と外国の利子率を$i \, , \, i^*$とすると、

  $i = i^* + \dot{s^e}$

で与えられます。

 これを予想相対的購買力平価の式に代入すると、

  $i \; – \; i^* = \dot{P}^e \; – \; \dot{P}^{*e}$

となります。

 そして、この式は「フィッシャー効果」と言われ、長期の利子率と予想インフレ率の関係を示しています。

 自国と外国で利子率に差があれば、予想インフレ率にも差が生じることになります。

実質利子率平価

 更に、フィッシャー効果の式を変形すると、次式が得られます。

  $i \; – \; \dot{P}^e = i^* \; – \; \dot{P}^{*e}$

 フィッシャー方程式を考えると、この式の左辺は自国の実質利子率、右辺は外国の実質利子率を表しており、自国と外国の実質利子率が等しくなることが分かります(このことから、この式は「実質利子率平価」と呼ばれます)。

 このことから、予想相対的購買力平価とカバーなし利子平価が成立すれば、実質利子率平価が成り立ち、実質利子率は自国と外国で等しくなることになります。

 言い方を変えれば、フィッシャー効果があれば、実質利子率は自国と外国で等しくなります。

参考

  藤井英次『コア・テキスト国際金融論

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