国際収支
ある国の居住者と非居住者(海外の居住者)との間では、貿易や投資などの様々な経済的取引が行われています。
一定期間について、それらを体系的に集計・整理したものが「国際収支」になります。
大別すると、次の3つになります。
・経常収支
・資本移転等収支
・金融収支
統計上の不突合などがあることから、誤差脱漏が発生しますが、複式簿記がとられており、
経常収支 + 資本移転等収支 + 金融収支 + 誤差脱漏 = 0
となります。
なお、統計としては、財務省がまとめており、次から国際収支のデータを入手できます。
財務省「国際収支状況」
以下では、それぞれの収支をさらに細かく見ていきましょう。
経常収支
経常収支は、次のような項目から成り立っています。
・貿易・サービス収支
・第一次所得収支
・第二次所得収支
貿易・サービス収支
貿易・サービス収支は、財・サービスの輸出から輸入を差し引いたものです。更に、財とサービスで分けると、貿易収支とサービス収支に分けられます。
貿易・サービス収支 = 貿易収支 + サービス収支
= (財の輸出 – 財の輸入) + (サービス輸出 – サービス輸入)
一般的に分かりやすいのが、貿易収支でしょう。石油や自動車など、様々な物を海外と取引した結果を示しているものです。
サービス収支は、物以外の取引の結果を示しており、更に、輸送・旅行・金融・知的財産権等使用料などのようなものから成り立っています。
第一次所得収支
金融資産から生じる利子や配当金などに関し、居住者が海外で稼いだお金と非居住者が日本で稼いだお金の差額となります。
第二次所得収支
無償資金協力、寄付、贈与の受払など、対価を伴わない資産の提供に係る収支状況です。
資本移転等収支
対価の受領を伴わない固定資産の提供、債務免除、非生産・非金融資産の取得処分等の収支を示しています。
金融収支
居住者と非居住者の間で行われた金融資産負債の取引が計上されています。
更に、この金融収支は、次のようなものから成り立っています。
・直接投資
・証券投資
・金融派生商品
・その他投資
・外貨準備
データ
参考として、平成3年(暦年)の国際収支は、次のようになっています。
貿易・サービス収支は赤字になっていますが、第一次所得収支が大きな黒字になっています。貿易やサービスについては海外からの購入が多いのですが、投資などの大きな収益があり、そこから日本は稼いでいることが分かります。
そして、この稼いだお金を金融収支という形で、海外に投資しています。
経常収支 | 貿易・サービス収支 | 貿易収支 | 16,701 |
---|---|---|---|
サービス収支 | -42,316 | ||
第一次所得収支 | 265,814 | ||
第二次所得収支 | -24,289 | ||
資本移転等収支 | -4,197 | ||
金融収支 | 168,560 | ||
誤差脱漏 | -43,153 |
参考
藤井英次『コア・テキスト国際金融論』
佐々木百合『国際金融論入門』
財務省「国際収支状況」