概要
購買力平価(Purchasing Power Parity)とは、物価をベースにした為替レートの考え方です。
自国と外国で全く同じ製品が取引されている場合、それぞれの通貨で換算された価格は等しくなるはずです。
例えば、マクドナルドのビッグマックを考えると、日本では300円で販売されており、アメリカでは$4で販売されているとしましょう。ビックマック自体は日本でもアメリカでも違いはないため、ビックマックで換算すれば、300円=$4は等しいはずです(1$に直せば、1$=75円)。

このように、一物一価に着目し、自国・外国の間で為替レートがどのようになるかを考えたのが「購買力平価」です。
導出方法
ここで、自国の物価を$P$、外国の物価を$P^*$、名目為替レートを$e$とすると、次のような関係で表すことができます(なお、$e$を名目為替レートと書きましたが、この式を理解するには、自国の物価を外国の物価に直す係数と考えたほうが分かりやすいかもしれません)。
$P = e P^*$
そして、この式を直すと、
$e = \dfrac{e P^*}{P}$
となり、購買力平価においては、自国と外国の物価の比率で、名目為替レートが決まるという考えになります。
絶対的購買力平価説と相対的購買力平価説
上記の式について、自然対数をとり、$ ln X_{t+1} – ln x_t \approx (X_{t+1}-X_t)/X_t$という近似を利用すれば、次式が得られます。
$ \dfrac{e_{t+1} – e_t}{e_t} = \dfrac{P_{t+1} – P_t}{P_t} – \dfrac{P^*_{t+1} – P^*_t}{P^*_t}$
これは、自国の物価上昇率と外国の物価上昇率の差が、名目為替レートの変化率になるという式になります。
同じ購買力平価の式ですが、上記のものは「絶対的購買力平価説」、この変化率のものは「相対的購買力平価説」と言われます。
参考
齊藤誠・岩本康志・太田聰一・柴田章久『マクロ経済学』