各国で様々な国際通貨制度が採用されています。日本やアメリカのように、変動相場制を採用しているところもあれば、独自の通貨を持たないような国もあります。
IMFでは、毎年「アニュアルレポート」という形で、国際通貨制度を10種類に分類し、それぞれの国の国際通貨制度を発表しています。
IMF「Annual Report on Exchange Arrangements and Exchange Restrictions 2021」
①独自通貨不採用制度(No separate legal tender)
独自の通貨をもたない国で、ドルやユーロなど、他の通貨を利用しています。
(例)エクアドル、パラオ共和国 など
②カレンシー・ボード制(Currency board)
固定相場制の中で最も厳格なもので、固定された為替レートで、無制限に自国通貨と外国通貨の交換が行われます。固定相場なので、ドルやユーロなどにペッグされています。
(例)香港、ブルガリア など
③標準的固定相場制(Conventional peg)
通常の固定相場制で、変動幅を一定の範囲内に固定する制度です。
(例)サウジアラビア、イラク など
④相場を安定させる制度(Stabilized arrangement)
為替相場を固定にしませんが、為替相場を安定させる仕組みをもった制度です。
(例)カンボジア、イラン など
⑤クローリングペッグ制(Crawling peg)
固定相場制ですが、固定する為替水準を定期的に小刻みに調整する制度です。
(例)ニカラグワ、ボツワナ など
⑥クローリングに近いペッグ制(Crawl-like arrangement)
明確なクローリングペッグではありませんが、それに近い制度です。
(例)中国、ベトナム など
⑦広いバンドを持つ固定相場制(Pegged exchange rate within horizontal bands)
固定相場制ですが、許容される変動幅が広い制度です。
(例)モロッコ
⑧その他の管理相場制(Other managed arrangement)
管理相場を採用していますが、上記以外のものです。
(例)クウェート、リベリア など
⑨変動相場制(Floating)
為替介入などで相場の安定化を行っている変動相場制です。
(例)韓国、マレーシア など
⑩自由な変動相場制(Free floating)
⑨よりも、より一層、為替介入が少ない変動相場制です。
(例)日本、アメリカ など
参考
藤井英次『コア・テキスト国際金融論』
佐々木百合『国際金融論入門』
IMF「Annual Report on Exchange Arrangements and Exchange Restrictions 2021」