発展途上国などにおいて、経済発展が進むことにより、環境がどのようになっていくかが問題となります。
日本においても、明治時代のに殖産興業が進められ、足尾銅山鉱毒事件が発生したり、戦後においても、重化学工業が発達する中で、水俣病などの公害が問題となりました。
このように、経済発展と環境問題は不可分であり、いくつもある環境指標の中で、所得水準とそれぞれの環境指標の関係において、3つのパターンがあるとされています。
【単調向上】
所得水準が上がると、環境指標が改善するパターンです。
例えば、
・安全な水を得られない人口比
・十分な下水道設備なしの都市人口比 など
は、所得が高くなると、改善する指標とされています。
【逆U字】(環境クズネッツ曲線)
所得が向上するにつれ、環境指標は悪くなりますが、一定まで来ると、環境指標は改善していくというものです。
横軸に所得、縦軸に環境指標の悪化度合いをとったとき、逆U字になり、所得と格差の関係を示すクズネッツの逆U字曲線になぞらえて、「環境クズネッツ曲線」と言われるパターンです。
(元々のクズネッツの逆U字曲線については、「クズネッツの逆U字型仮説」を見たりしてください)
例えば、
・二酸化硫黄濃度
・河川のBOD(生物化学的酸素要求量)
・河川の鉛濃度
・河川のカドミウム濃度
・森林被覆率 など
が逆U字を示すとされます。
【単調悪化】
所得が高くなるほど、環境指標が単調的に悪化するというパターンです。
・1人当たり二酸化炭素排出量
・エコロジカル・フットプリント など
がこのパターンに該当とするとされます。
参考
ジェトロ・アジア経済研究所・高橋和志・黒岩郁雄・山形辰史(編)『テキストブック開発経済学』