はじめに
計量経済学で、モデルについて、ある制約があったとしたとき、その妥当性を検証する方法として、F検定があります。
しかし、F検定では、回帰モデルの誤差項が正規分布であるという仮定を満たさないといけません。
そこで、回帰モデルの制約の妥当性を調べたいが、誤差項が正規分布か分からないときに用いられるのが、「ワルド検定」(Wald検定)になります。
ワルド検定
基本的な考え方としては、F検定と同じですが、誤差項が正規分布とは言えないので、漸近理論により、仮説検定を行うことになります。
漸近理論に基づいているので、誤差項が正規分布でなくても構わないのですが、多くのデータがあることが求められます。
そして、制約数を$J$、F統計量を$F$とすると、ワルド統計量$W$は、
$W = J \times F$
となります。
また、データ数を$n$、定数項を含めた係数の数を$K$、制約がある場合の二乗和を$RSS_R$、制約がない場合の残差二乗和を$RSS_U$とすると、ワルド統計量は、次のようにも表せます。
$W = \dfrac{RSS_R \; – \; RSS_U}{RSS_U / (n \; – \; K)}$
そして、ワルド統計量は漸近的に自由度$J$の$\chi^2$分布に従うので、ワルド統計量の大小で、制約がある場合を棄却できるかどうかを判断します。
参考
黒住英司『計量経済学』