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投稿ミクロ経済学中級

サミュエルソンの条件の導出方法(数式)

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私的財が2財の場合のサミュエルソンの条件の導出方法を説明しています。
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はじめに

 公共財は非排除性を有しており、通常の市場メカニズムで、どの程度、供給されるのかは決まりません。

 公共財が多ければ、消費者はうれしいでしょうが、公共財のみが供給される経済状態は消費者にとってはマイナスです。生産者も公共財だけではなく、私的財を生産しながら、それぞれの財をどの程度、生産したらいいかも考える必要があります。

 このような問題について、パレート最適である1つの条件として、「サミュエルソンの条件」があります。

サミュエルソンの条件

一般形

 $n$人いる経済において、各消費者の私的財の公共財に対する限界代替率$MRS^i$と生産における私的財の公共財に対する限界変形率$MRT$を考えたとき、

  $\displaystyle \sum_{i=1}^n MRS^i = MRT$

が成立すれば、パレート最適な公共財の供給量が実現されるとするのが、サミュエルソンの条件になります。

2人の場合

 2人の個人$A$と$B$がおり、それぞれは私的財$x^A$と$x^B$を消費するとともに、公共財を$z$とします。このとき、個人は私的財と公共財を消費することで効用が上がるため、それぞれの効用関数を$u^A(x^A , z)$と$u^B(x^B , z)$とします。

 他方、生産者は私的財と公共財を生産しているとして、生産関数を$Y = F(x , z)$とします(なお、$x = x^A + x^B$)。

 このとき、限界代替率$MRS^i$と生産における私的財の公共財に対する限界変形率$MRT$はそれぞれ、

  $MRS^A = \dfrac{\partial u^A / \partial z}{\partial u^A / \partial x^A}$

  $MRS^B = \dfrac{\partial u^B / \partial z}{\partial u^B / \partial x^B}$

  $MRT = \dfrac{\partial F / \partial z}{\partial F / \partial x}$

と定義でき、サミュエルソンの条件は、

  $MRS^A + MRS^B = MRT \cdots (1)$

となります。

導出方法

 改めて、2人の場合の効用関数や生産関数を整理すると、次のような式があることになります。

  $u^A(x^A , z)$

  $u^B(x^B , z)$

  $Y = F(x , z)$

 個人Bの効用を所与$\bar{u}^B$とすると、最適化問題は、次のようになります。

  $\max{u^A(x^A , z)}$

  $s.t. u^B(x^B , z) = \bar{u}^B$
     $Y = F(x , z)$

 この問題について、ラグランジュ未定乗数法で解くとして、ラグランジュ乗数を$\lambda , \mu$とすると、

  $L = u^A(x^A , z) + \lambda(\bar{u}^B \; – \; u^B(x^B , z)) + \mu(Y \; – \; F(x^A + x^B , z))$

と定義できます。

 この式について、$x^A , x^B , z$で微分すると、

  $\displaystyle \dfrac{\partial L}{\partial x^A} = \dfrac{\partial u^A}{\partial x^A} \; – \; \mu \dfrac{\partial F}{\partial x^A} = 0 \cdots (2)$

  $\displaystyle \dfrac{\partial L}{\partial x^B} = \; – \; \lambda \dfrac{\partial u^B}{\partial x^B} \; – \; \mu \dfrac{\partial F}{\partial x^B} = 0 \cdots (3)$

  $\displaystyle \dfrac{\partial L}{\partial z} = \dfrac{\partial u^A}{\partial z} \; – \; \lambda \dfrac{\partial u^B}{\partial z} \; – \; \mu \dfrac{\partial F}{\partial z} = 0 \cdots (4)$

が得られ、$(2)(3)$式について、$x = x^A + x^B$から$\partial x^A / \partial x= \partial x^B / \partial x = 1$に注意すると、

  $\displaystyle \mu = \dfrac{\partial u^A / \partial x^A}{\partial F / \partial x^A}$

  $\displaystyle \lambda = \; – \; \mu \dfrac{\partial F / \partial x^B}{\partial u^B / \partial x^B} = \; – \; \dfrac{\partial u^A / \partial x^A}{\partial u^B / \partial x^B}$

となります。これを$(4)$式に代入すると、

  $(\partial u^A / \partial z) + \dfrac{\partial u^A / \partial x^A}{\partial u^B / \partial x^B} \cdot (\partial u^B / \partial z) \; – \; \dfrac{\partial u^A / \partial x^A}{\partial F / \partial x} \cdot (\partial F / \partial z) = 0$

となり、式変形すると、

  $\dfrac{\partial u^A / \partial z}{\partial u^A / \partial x^A} + \dfrac{\partial u^B / \partial z}{\partial u^B / \partial x^B} = \dfrac{\partial F / \partial z}{\partial F / \partial x}$

が得られます。

 これは正しく$(1)$式であり、サミュエルソンの条件を得ることができます。

参考

  奥野正寛『ミクロ経済学

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