統計学・計量経済学における不偏性・有効性・一致性は、パラメーターを推定するにあたり、その推計方法がいいのか悪いのかを判断するのに使われる基準です。
(なお、これらの考え方については、「不偏性・有効性・一致性 なぜそんな話が出てくるか」も見てください)
これらの基準について、あるパラメーター$\theta$の推定量を$\hat{\theta}$として、まとめてみました。
不偏性(不偏推定量)
不偏性とは、確率変数である推定量$\hat{\theta}$について、平均をとると、真のパラメーター$\theta$と同じになるというものです。
$E(\hat{\theta}) = \theta$
これにより、真のパラメーター$\theta$は分からないのですが、(数学的に)平均的には真のパラメーター$\theta$と等しくなるかどうかを見ることになります。
有効性(有効推定量)
有効性とは、すべての不偏推定量の中で、最も分散が小さくなるようなものです。
二つの不偏推定量$\hat{\theta}_1 \, , \, \hat{\theta}_2$が得られ、次が成立するとき、$\hat{\theta}_1$は、$\hat{\theta}_2$よりも有効であるとされます。
$Var(\hat{\theta}_1) < Var(\hat{\theta}_2)$
そして、このように比較したとき、最も分散が小さい推定量が、有効推定量となります。
これにより、推定量$\hat{\theta}$は、真のパラメーター$\theta$の周りに分布するのですが、有効性を有すれば、最もそのときのバラツキが小さく、推定量としては相応しいものと考えることができます。
一致性(一致推定量)
一致性とは、データを増やしていったときに、推定量$\hat{\theta}$が真のパラメーター$\theta$に確率収束するというものです。
$\textrm{plim} \; \hat{\theta} = \theta$
確率収束の記号を使わなければ、任意の値を$\varepsilon$とすると、
$\displaystyle \lim_{n \rightarrow \infty} P(| \, \hat{\theta} \; – \; \theta \, | \geq \varepsilon) = 0$
というものです。
そして、これが成立するための、十分条件として、次のようなものがあります。
$\displaystyle \lim_{n \rightarrow \infty} E(\hat{\theta}) = \theta$
$\displaystyle \lim_{n \rightarrow \infty} Var(\hat{\theta}) = 0$
参考
中村隆英『統計入門』
羽森茂之『ベーシック計量経済学』