マッケンジーの補題
マッケンジーの補題とは、文章でいうと、
「補償所得関数を価格で偏微分すると、補償需要関数が得られる」
というものです。
数式で表すならば、2財について、価格を
とし、効用を
、補償所得関数を
、補償需要関数を
とすると、
というものです。
導出方法
導出にあたり、改めて費用最小化問題を考えます。
これをラグランジュ乗数を使って、1階の条件を求めると、
が得られ、補償需要関数、補償所得関数
が得られます。
ここで、補償所得関数においては、次のようになっています。
これを全微分すると、
となります。
ここで、右辺第3項・第4項()に着目します。
式を使うと、
となり、
が得られます。
以上から、として、
式を
に代入すると、
となり、をキャンセルすると、
というマッケンジーの補題が導出できます。
例
効用関数を特定化した場合に、マッケンジーの補題が成立していることを見てみましょう。
効用関数をとしたとき、費用最小化問題は、次のようになります。
これを解くと、補償需要関数は、それぞれ次のようになります(解き方は、省略します)。
そして、これを用いると、補償所得関数(支出関数は)は、次のようになります。
この補償所得関数について、価格でそれぞれ偏微分すると、
となり、いずれも補償需要関数となっていることが分かります。
すなわち、式のマッケンジーの補題が成立していることが分かります。
参考
武隈愼一『ミクロ経済学』
西村和雄『ミクロ経済学』