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商圏分析におけるいくつかの指標・モデル

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投稿地域経済学初級
商圏分析にあたり、商業地と距離の関係において、いくつかの指標・モデルがあります。これらの指標・モデルについて、説明しています。
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はじめに

 商圏分析において、消費者は商業地へ近いほど、その商業地に買い物に行くと考えられます。また、近くに商業地があっても、その商業地が魅力的でなければ、あまりその商業地にはいかないでしょう。

 そこで、ある商業地を考えたとき、消費者がどれだけその商業地に行く可能性があるかを測定する必要があります。

 これについて、いくつかの指標やモデルがありますので、これらを説明します。

指標・モデル

 居住地$i (i=1 \, , \, cdots \, , \, n)$の消費者が、商業集積$j(j=1 \, , \, cdots \, , \, m)$に買い物に出かけるものとします。

 $i$居住地の消費者と$j$商業施設の間には距離$T_{ij}$があり、$j$商業施設の売場面積を$S_j$とします。

 このとき、$i$居住地の消費者が$j$商業施設に行く確率$P_{ij}$を考えます。

影響度指標

 最も単純なモデルとして、影響度指標があります。
 これは、消費者が商業施設に買い物へ出かける確率は、売場面積に比例し、距離の二乗に反比例するというものです。

  $\displaystyle p_{ij} = \left. \dfrac{S_j}{T_{ij}^2} \middle/ \sum_{j=1}^m \dfrac{S_j}{T_{ij}^2} \right.$

ハフモデル

 影響度指標では、距離の二乗に反比例するとしましたが、ハフモデルでは、$\beta$乗に反比例するとしています。

  $\displaystyle p_{ij} = \left. \dfrac{S_j}{T_{ij}^\beta} \middle/ \sum_{j=1}^m \dfrac{S_j}{T_{ij}^\beta} \right.$

 影響度指標における2乗というウエイトはそもそも根拠はありませんし、同じ距離であっても、都心と山間部ではその距離の意味合いが異なるでしょう。同じ都心であっても、鉄道で行けるところとそうでないところでは、距離に関する消費者の態度は変わってきます。

 すなわち、ハフモデルにおいては、$\beta$という交通環境を説明するパラメーターを導入していることになります。
 そして、$\beta$の値が大きいほど、交通環境を反映した距離感は大きくなるので、悪い交通環境を想定していると言えるでしょう。

MCIモデル(修正ハフモデル)

 ハフモデルをベースに、商業施設の面積にも、$\alpha$というウエイトをつけたものが、このモデルになっています。

  $\displaystyle p_{ij} = \left. \dfrac{S_j^\alpha}{T_{ij}^\beta} \middle/ \sum_{j=1}^m \dfrac{S_j^\alpha}{T_{ij}^\beta} \right.$

数値例

 最後に、数字遊びの世界ですが、適当な数値例で、それぞれの指標を見てみましょう。

 居住地はAとBの2つがあり、3つの商業施設へ買い物に行くとしましょう。
 それぞれの売場面積や居住地から商業施設への距離は、次のようになっているとします。

商業施設1商業施設2商業施設3
売場面積1,000㎡3,000㎡1,500㎡
居住地Aからの距離1km3km4km
居住地Bからの距離5km2km3km

 このとき、影響度指標、ハフモデル、MCIモデルで計算すると、次のようになります。

【影響度指標】

商業施設1商業施設2商業施設3
居住地A70.1%23.4%6.6%
居住地B4.2%78.4%17.4%

【ハフモデル】(すべて$\beta=3$)
 影響度指標よりも距離の影響が大きくなっているので、影響度指標での確率よりも、居住地から距離が近い「居住地Aから商業施設1」「居住地Bから商業施設2」の確率が高くなっています。

商業施設1商業施設2商業施設3
居住地A88.1%9.8%2.1%
居住地B1.8%85.5%12.7%

【MCIモデル】(すべて$\alpha=2 \, , \, \beta=3$)
 MCIモデルでは売場面積に更にウエイトをかけたものであり、$\alpha=2$としているので、商業施設2への確率が居住地A・Bともに高くなっています。

商業施設1商業施設2商業施設3
居住地A73.1%24.4%2.6%
居住地B0.7%92.5%6.9%

参考

  中村隆英・美添泰人・新家健精・豊田敬『経済統計入門

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