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政策の収束について

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投稿公共経済学入門
各政党間で政策が似通るという政策の収束について、説明します。
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はじめに

 政治の世界において、各政党が政策を掲げますが、どの政党も同じような政策を打ち出すことがあります。

 このような現象を「政策の収束」と言います。

 いろいろな政党があるにもかかわらず、同じ1つの政策に近づいていくことから「収束」という言葉が用いられています。

 そうしたら、なぜこのような現象が生じるのでしょうか。

 その原因を説明するとともに、必ずしも政策の収束が生じない状況についても、説明します。

政策の収束

 まずは、ある国において、2つの政党があるものとします。そして、ある政策について、それぞれがLとRという全く反対の主張をしているとしましょう。

 有権者はこの2つの政党の主張に基づき、自己の効用が最大化されるように投票するものとします。
 ただ、LとRの極端な主張を採用したいと思う有権者は最も少なく、LとRの中位点で最も有権者数が多くなるように、有権者は分布しているものと考えます。

 このLとRの主張と有権者数をグラフにしたのが、下図です。



 このとき、2つの政党は当初、それぞれLとRという全く反対の主張をしているとします。ただそれでは多くの有権者の支持を得ることができず、政権を獲得することができません。

 そこで、それぞれの政党は、有権者数が最も多い中位点Mに政策を近づいていくことを考えます。Lは、Mに近づくため、より右側に主張を変更していきます。逆に、Rは、Mに近づくため、より左側に主張を変更していきます。

 この結果、当初は主張が異なっていたのですが、それぞれ主張をMに変更することになり、政策としては同じようになってしまいます。

棄権者の存在

 政策の収束は、民主主義国ではよくあることと言えるでしょうが、必ずしも収束が生じるとは限りません。

 例えば、極端な主張を望んでいた人にとっては、政党が中位点に主張を変えた場合、投票は行わず、棄権してしまうでしょう。
 そうすると、政党にとっては、棄権者を避けるため、中位点ではなく、中位点から少し外れた主張を採用したほうがいいことになります。

 これをグラフにしたのが、数です。



 当初、ある政党は、よりRに近いAを主張していたとします。ただこの主張のままでは政権は獲得できないので、政策の収束から、主張をMに変えようとするでしょう。しかし、主張をMにしてしまうと、棄権者が出てしまう可能性があることから、最終的にはMではなく、A’の位置に主張を変えることになります。

まとめ

 政策の収束という考えに基づけば、政党が政権を獲得しようとすれば、最も支持されそうな主張にそれぞれの政党が寄せていくことになり、似たような主張を行う政党ばかりになります。

 ただ同時に、最も支持されるような主張では、極端な主張を求める有権者は棄権してしまうため、中位点から少しずらした主張をすることになります。

参考

  井堀利宏『基礎コース 公共経済学

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