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2財におけるラムゼー・ルールの導出方法(数式)

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投稿産業組織論中級
公共経済学や産業組織論などで出てくるラムゼー・ルールですが、2財におけるラムゼー・ルールの導出方法を、数式で説明します。
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 以下より、順を追って、2財におけるラムゼー・ルールの導出方法を説明したいと思います。
 (ラムゼー・ルールの初級者向けの基本的な考えは「ラムゼー・ルールについて」を参照)

間接効用関数

 $x$財と$y$財の2財があるとし、それぞれの価格を$p_x \, , \, p_y$、所得を$M$とします。
 このときの間接効用関数$V$は、次のようになります。

  $V(p_x \, , \, p_y \, , \, M)$

利潤関数

 他方、独占企業は、この$x$財と$y$財を生産しており、費用関数を$C(x \, , \, y)$とすると、この企業の利潤$\pi$は、次のようになります。

  $\pi = p_x x + p_y y \; – \; C(x \, , \, y)$

最適化問題

 ラムゼー・ルールでは、独占企業が利潤がゼロになるようにしながら、消費者の効用の最大化を図るため、価格を調整するため、上記の間接効用関数と利潤関数を用いると、次のような問題となります。

  $\displaystyle \max_{p_x \, , \, p_y} V(p_x \, , \, p_y \, , \, M)$

  $s.t. \quad p_x x + p_y y = C(x \, , \, y)$

 これをラグランジュ乗数法を用いて、解くことになります。

  $L = V(p_x \, , \, p_y \, , \, M) \; – \; \lambda (p_x x + p_y y \; – \; C(x \, , \, y))$

一階条件

 上記のラグランジュ関数を$p_x \, , \, p_y$で微分して、ゼロとすると、次のような一階条件が得られます。

  $\dfrac{\partial L}{\partial p_x} = \dfrac{\partial V}{\partial p_x} \; – \; \lambda (x + p_x \dfrac{\partial x}{\partial p_x} \; – \; \dfrac{\partial C}{\partial x} \cdot \dfrac{\partial x}{\partial p_x}) = 0$

  $\dfrac{\partial L}{\partial p_y} = \dfrac{\partial V}{\partial p_y} \; – \; \lambda (y + p_y \dfrac{\partial y}{\partial p_y} \; – \; \dfrac{\partial C}{\partial y} \cdot \dfrac{\partial y}{\partial p_y}) = 0$

ロイの恒等式

 ここで、ロイの恒等式は

  $x = – \dfrac{\partial V / \partial p_x}{\partial V / \partial M}$

  $y = – \dfrac{\partial V / \partial p_y}{\partial V / \partial M}$

であり、$\partial C / \partial x$と$\partial C / \partial y$はそれぞれの財の限界費用なので、$MC_x \, , \, MC_y$とすると、上記の一階条件は、

  $- x \cdot \dfrac{\partial V}{\partial M} = \lambda (x + p_x \dfrac{\partial x}{\partial p_x} \; – \; MC_x \cdot \dfrac{\partial x}{\partial p_x})$

  $- y \cdot \dfrac{\partial V}{\partial M} = \lambda (y + p_y \dfrac{\partial y}{\partial p_y} \; – \; MC_y \cdot \dfrac{\partial y}{\partial p_y})$

となります。

 ※ロイの恒等式については、「ロイの恒等式について」を参照

価格弾力性

 上記の二式から、$\partial V / \partial M$と$\lambda$をキャンセルすると、

  $1 + \dfrac{p_x}{x} \cdot \dfrac{\partial x}{\partial p_x} \; – \; \dfrac{MC_x}{x} \cdot \dfrac{\partial x}{\partial p_x} = 1 + \dfrac{p_y}{y} \cdot \dfrac{\partial y}{\partial p_y} \; – \; \dfrac{MC_y}{y} \cdot \dfrac{\partial y}{\partial p_y}$

となります。

 ここで、$x$財・$y$財それぞれの価格弾力性$\varepsilon_x \, , \, \varepsilon_y$は、

  $\varepsilon_x = \dfrac{\partial x / x}{\partial p_x / p_x}$

  $\varepsilon_y = \dfrac{\partial y / y}{\partial p_y / p_y}$

であるので、上記の式は、

  $\varepsilon_x \; – \; MC_x \cdot \dfrac{\varepsilon_x}{p_x} = \varepsilon_y \; – \; MC_y \cdot \dfrac{\varepsilon_y}{p_y}$

となります。

ラムゼー・ルール

 更に式変形すると、次のようなラムゼー・ルールを得ることができます。

  $\dfrac{p_x \; – \; MC_x}{p_x} \cdot \varepsilon_x = \dfrac{p_y \; – \; MC_y}{p_y} \cdot \varepsilon_y$

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参考

  奥野正寛・鈴村興太郎『ミクロ経済学Ⅱ

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