はじめに
データについて、期中平均を使って、データを分析しなければならないときがあります。
例えば、ある企業の負債額と支払利息のデータがあったとして、その企業の借入金利を求めたいとします。
$t$期の負債額を$D_t$、支払利息を$r_t$とすると、次のように計算するのは間違っています。
$\dfrac{r_t}{D_t}$
$\dfrac{r_t}{D_{t-1}}$
なぜなら、負債残額に応じて、支払利息を支払っているので、期中における負債残高で計算する必要があるからです。
そこで、月ごとなど、徐々に負債を返済しているときには、期中平均を考えて、
$\dfrac{r_t}{(D_t + D_{t-1})/2}$
と計算する必要があります。
このように、期中平均を考える場合には、$(D_t + D_{t-1})/2$のように、2期間のデータを足して、2で割る必要があります。
また、経済学におけるモデルにおいて、期中平均がでてきたときに、2で割った形で、理論が展開されたりもします。
以上から、期中平均を出すときには、2期間の数字を足して、2で割ればいいのですが、なぜそうなるのかを説明します。
理由
$t$期のデータを$x_t$として、$t$期と$t+1$期の期中平均$pa$を求めるとしましょう。
式としては、次のようになります。
$pa = \dfrac{x_t + x_{t+1}}{2}$
期中平均は、2つの値の平均だから、2つのデータを足して、2で割ればいいと考えることもできますが、しっかり考えていきましょう。
幾何的な説明
下図は、横軸に時間、縦軸に$x$の値をとったものです。$t$期から$t+1$期、$x_t$は$x_{t+1}$と数値が減少している場合としています。
実際に、$t$期と$t+1$期の間で$x$は増減したかもしれませんが、最終的には$x_t$から$x_{t+1}$に減少したことはデータから分かるので、時間と共に徐々に減少したと考えます(これが、期中平均の根本的な考えです)。
そうしたときに、期中における$x$の値は、(横から図を見たときの)台形部分に相当することが分かります。
なので、「(上辺+下辺)÷2」×高さ」という台形の公式を使えば、期中平均を求めることができます。
$pa = (x_{t+1} + x_t) \div 2 \times (t+1 \; – \; t) = \dfrac{x_t + x_{t+1}}{2}$
変化をしない部分と減少部分に分けたときには、四角形と三角形に分けて、考えても同じです。
変化しない$x$の量は、$x_{t+1}$であり、減少部分は$x_{t-1}$から上の三角形ですので、
$pa = x_{t+1} \times (t+1 \; – \; t) + \dfrac{1}{2} \times (x_t \; – \; x_{t+1}) \times (t+1 \; – \; t) = \dfrac{x_t + x_{t+1}}{2}$
と計算され、上記と同様の結果となっています。
このように、期中平均においては、直線的に徐々に変化していくということが仮定されており、計算していることになります。
一様分布による説明
もう1つの考えが、一様分布に基づいたものです。
$x_t$と$x_{t+1}$がその間で色々な値をとるかもしれませんが、一様分布に従って推移したと仮定します。
一様分布とは、次のような密度関数である確率分布です。一様分布の代表的な例としては、さいころを振ったときのそれぞれの数字が出る確率を表します。
この一様分布を用いて、データ$x_t$と$x_{t+1}$の間の数字が、等しい確率で生起したと仮定することになります。
そして、一様分布の平均は$)a+b)/2$なので、
$pa = \dfrac{x_t + x_{t+1}}{2}$
となります。