はじめに
マクロ経済において、投資がどのような要因でどれだけ起こるのかは重要な問題であるため、いくつもの理論があります。
例えば、ケインズモデルのIS曲線では、利子率が高くなれば、投資が抑制され、利子率が低くなれば、投資が促進されるといった具合です。
そして、この投資理論の1つとして、新古典派の投資理論があります。
新古典派の投資理論
望ましい資本量
企業が資本$K$を用いて、生産を行うとします。
生産関数$f(K)$を、価格を$P$、資本コストである利子率を$r$とすると、この企業は、次のような利潤関数$\pi$に直面することになります。
$\pi = p f(K) \; – \; r K$
そして、利潤最大化をこの企業が行うと、次のような式が得られます。
$f'(K^*) = \dfrac{r}{p}$
この式は、資本の限界生産力と実質利子率が等しくなるというもので、企業はこの式を満たすように、最適な資本量$K^*$が決定されることになります。
例えば、利子率が上昇したら、この企業にとって資本コストは大きくなるので、望ましい資本量を減少させます。また、企業の側で、生産性が向上したときには、資本コストはそのままでも、資本を増加させることができるので、望ましい資本量も増加します。
新古典派の投資理論
この上で、投資$I$については、次のように表すことができます。
$I_t = K_t^* \; – \; K_{t-1}$
前期である$t-1$期の資本と$t$期における望ましい資本の差を調整するように、$t$期の投資が決定されるというものです。
そして、これが「新古典派の投資理論」と呼ばれています。
なお、資本減耗$\delta$を考慮した場合には、次のようになります。
$I_t = K_t^* \; – (1 \; – \; \delta)\; K_{t-1}$
ポイント
以上をまとめると、新古典派の投資理論では、次のような形で投資が決まるということです。
①望ましい資本$K^*$が決定
限界生産力や利子率などが望ましい資本量が決定されることになります。
②投資$I$が決定
望ましい資本量を実現するために、資本を増減させる必要があり、その増減分が投資として決定される
参考
福田慎一・照山博司『マクロ経済学・入門』