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パレート最適・コア・競争均衡の関係について

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投稿ミクロ経済学初級
ミクロ経済学におけるパレート最適・コア・競争均衡について、これらの関係が分かりにくいことがあるかと思うので、できるだけ分かりやすく説明します。
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はじめに

 ミクロ経済学において、パレート最適・コア・競争均衡というものが出てきます。
 そして、教科書的には、

  「コアは、パレート最適に個人合理性が追加されたものである」

  「競争均衡は、パレート最適であり、コアである」

などと説明されていたりもします。

 ただこれでは、何となく分かったような分からないような感じになることがあるかと思います。

 そこで、数学を使わず、それぞれの概念の説明などを行いながら、その関係について説明したいと思います。

パレート最適(契約曲線)

 パレート最適とは、ざっくり言うと

  「すべての個人が、他者の効用を引き下げることなく、これ以上効用を改善することがない財の配分の状態」

のことです。

 言い換えれば、

  「すべてに個人において、他の人の邪魔をせず、自分が最も得をするような形」

ともいえるでしょう。

 そして、2人の個人について、エッジワースボックスにおいては、次のような曲線が描かれます。



 この箱の中の曲線が、パレート最適である組み合わせを描いたものになります。
 (分かりやすくするため、効用曲線は省いています)

 これを「契約曲線」と言います。

 何でこんな曲線になるのかなどはひとまず置いておいて、2人の個人がいたとき、上記の基準を満たし、2人ともがとりあえず納得できるX財とY財の配分の状態を組み合わせたものです。

コア

 ところで、初期にX財とY財の2つの財を、A・B人の個人が一定量ずつ与えられていたとしましょう。
 これらの量が、パレート最適の曲線上にあれば、問題はありませんが、必ずしもそうでないことのほうが多いと言えます。

 このとき、2人の間で交渉や取引ができるとしましょう(ここがコアの一つのポイントです)。

 例えば、下図の初期賦存量wでは、パレート最適の曲線上には財の配分がないため、2人にとっては不満が生じます。そこで、取引を行い、財を交換し合うことで、パレート最適である財の配分を実現できるはずです。



 ただ、取引を行い、パレート最適の曲線上に、財の組み合わせを変えたとしても、どこがいいのかという問題があります。
 この図でいえば、例えば、点aと点bの2つが考えられます。

 このとき、用いられるのが、

  個人合理性「各個人が、初期の状態よりもより効用が高い水準を求める」

という基準です。そうすると、

  点a … 個人Aは財X・財Yとも減らし、個人Bは財X・財Yともに増やす

  点b … 個人Aは財Xは増えるが財Yは減り、個人Bは財Xは減るが、財Yは増える

となります。

 明らかに、点aでは、個人Aは「個人合理性」の基準を満たさないので、点aのような取引は行われません。
 他方、個人Aが財Xのほうが好きで、個人Bが財Yのほうが好きだったら、点bの状態に取引を行うことは、2人にとって幸せです。

 そして、この点bのような組み合わせを「コア」と言います(図では、パレート最適の一部分)。

 言い換えれば、取引を行うことで、各個人がより望ましくなるような状態を「コア」ということができるでしょう。

競争均衡

 ただ、単純に取引を行うだけでは、色々な組み合わせがあります。言い方を変えれば、「コア」の状態にある財の配分はいくつもあります。

 このとき、2人の個人が交渉で取引を行うのではなく、価格といった市場原理を持ち込むとしましょう。
 そうすると、下図のように、価格比率の直線を描けることができ、これが「競争均衡」になります。



 競争均衡における財の配分は、パレート最適・コアでもあります。

 なお、価格比率の直線は色々なところに引け、コアやパレート最適のところもあるうるのではと思うかもしれません。ただ、そのような場合には、取引や市場原理を持ち込む事態、個人にとっては損をするので、そもそも取引や市場原理はなくなることになります。

最後に

 何人もの人がいる経済では、すべての人を満足させることはできません。ただ少なくとも、「他の人の邪魔はせず、自分が最も得をする状態」が望ましいとして、パレート最適という基準が用いられます。

 そして、ミクロ経済学においては、

  「競争均衡は、パレート最適である」

ということを示すために、色々と難しいことを言っているわけです。

 そしたら、「コア」は何の意味があるのと思うかもしれません。ミクロ経済学だけを考えた場合、あまり重要ではなかったりもします。
 しかし、取引を行えるが、市場原理がうまく機能しなかったり、価格を導入しにくい世の中の現象は多々あります。その際には、競争均衡ではなく、メカニズム・デザインなどのように、コアのほうが大事だったりもします。

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