こんな方におすすめ
ミクロ経済学でもマクロ経済学においては、0次同次性、1次同次などという言葉が出てきます。
数学的な話なのですが、経済学においては、重要な考えです。
なぜならば、この同次性によって、規模に関して収穫一定・収穫逓減などが特徴づけられるからです。逆に言えば、規模に関して収穫一定・収穫逓減などを数学的に表すためのものが、同次性や同次関数ということになります。
そこで、
「同次性や同次関数について知りたい」
「数学的に同次性や同次関数を学びたい」
という方のために、投稿を作成しました。

この同次性・同次関数について、説明したいと思います。
同次性
同次性とは、ある関数について、そのすべての変数を 倍したときに、その関数は何倍になるかというものです(ここで、「すべての変数」というのが大事です)。
普通に考えれば、すべての値を 倍するですから、その関数も
倍になると考えれますが、必ずしもそうではありません。すべての値を
倍しても、その関数の値は全く変わらなかったり、それ以上に大きくなったりする可能性があります。
この考えを表現したものが、 次同次というものです。
例えば、ある関数について、そのすべての変数を 倍したときと、その関数は
全く変わらない ⇒ 0次同次
倍になる(倍率がそのまま反映される) ⇒ 1次同次
となります。
同次関数

同次関数とは、上記の同次性を関数で表したものです。
変数の関数
が、任意の
について、
を満たすとき、この関数を 次同次関数と言います。
(左辺の の中にあった
が、右辺では
の外に出ていることに注意してください)
例えば、
のとき(0次同次)
のとき(1次同次)
となります。
0次同次では、左辺ですべての を
倍しても、右辺では全く変わりませんが、1次同次では、右辺で
の外に、
が出てきても、
内で
を
倍しても、値が同じになることを示しています。
規模に関して収穫逓減・一定・逓増
上記の同次関数から、規模に関して収穫逓減・一定・逓増は、次のような場合になります。
のとき、規模に関して収穫逓減
のとき、規模に関して収穫一定
のとき、規模に関して収穫逓増
それぞれをグラフに書くと、次のようになります(なお、 という式で計算してます)。
規模に関して収穫逓減
規模に関して収穫逓減の場合には、 の値が大きくなるほど、
も増加しますが、その増加は徐々に小さくなっています(なお、グラフはエクセルで
の場合で描いたものです)。

規模に関して収穫一定
規模に関して収穫一定には、直線になります。規模に関して収穫一定では、1次同次であり、 ですので、
という線になります。

規模に関して収穫逓増
規模に関して収穫逓減の場合には、 の値が大きくなるほど、
も増加し、その増加は徐々に大きくなっています(なお、グラフはエクセルで
の場合で描いたものです)。

例
経済学的に、具体的な同次性を見てみるため、需要関数とコブ=ダグラス生産関数について、例を挙げましょう。
需要関数
需要関数 については、次のような性質があり、0次同次関数となっています。
例えば、効用関数 、予算制約式を
とすると、需要関数は、次のようになります。
そこで、例えば、 について見ると、
となり、0次同次であることが分かります( も同様です)。
コブ=ダグラス生産関数
コブ=ダグラス生産関数 については、
であり、1次同次関数となっています。
まとめ
同次性や同次関数は、規模の経済などを特徴づけていたりと、経済学的には重要です。
(言い換えると、厳密には違いますが、「規模の経済」「収穫逓減」などの経済学用語を、数学的に言うと「同次関数」などということになるのかもしれません)
ですので、数学的にもしっかりと覚えておきたいものです。