概要
予算制約下の効用最大化とは、ある消費者が一定の予算のもと、自己の効用を最大化するように、それぞれの財の消費量を決定することです。
ミクロ経済学においては、最初に出てくる基本的なテーマなのですが、初級者にはイメージがつきにくい部分があるかと思います。そこで、本稿では、数値例を示して、その解き方を説明したいと思います。
解き方
予算制約下の効用最大化について、3つの計算例・数値例で紹介したいと思います。
例題として、次のような問題があるとします。
効用関数をとし、財
の価格が
、財
の価格が
、所得が
のとき、財
と財
の需要量を求めたいとします。
数式で表すと、次のような問題になります。
このときの計算方法としては、次の3つがあります。
計算例1
単純に数式を代入して、計算する方法です。
まず、式を変形すると、
となるので、これを
式に代入します。
これをで微分すると、
なので、となります。そしてこの値を
式に入れて計算すると、
が得られます。
計算例2
限界代替率を使った方法です。
効用最大化の条件として、限界代替率と2財の価格は等しいというものがあります。
この式を使うと、まずは次のような式が得られます。
この式を変形すると、となるので、
式に代入し計算すると、
となります。そしてこの値を
式に代入すると、
が求められます。
計算例3
ラグランジュの未定乗数法を使う方法です。
式から、次のようなラグランジュ関数
が定義できます。
この式を、、
、
で微分すると、次の3つの式が得られます。
そして、まずはを消去すると、
が得られます。
後は、計算例2と同じように、式を使うと、
と
となります。
まとめ
初級者にとっては、計算例1のように、予算制約式を効用関数に代入して、数式を解いていくというのが分かりやすいと思います。ただこの方法は、というように、効用関数が特定されていないと使えません。
ですので、より経済学を学んでいくには、計算例2・計算例3の方法は覚えておく必要があります。
特に、計算例3のラグランジュの未定乗数法は、ミクロ経済学だけではなく、マクロ経済学など様々なところで出てきます。一見すると、難しいようですが、ちょっとしたラグランジュ関数という式を作るだけなので、是非とも覚えておいたほうがいいでしょう。