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複数財を生産する結合生産について

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投稿ミクロ経済学初級
経済学において、通常は企業は1つの財しか生産しないとされますが、複数の財を生産する結合生産も考えられます。この結合生産について、説明しています。
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はじめに

 経済学において、通常、企業はいくつかの生産要素を用いて、1つの財を生産するとされます。
 生産要素を$x_1 \, , \, x_2$とし、生産物を$y$とすると、

  $y = f(x_1 \, , \, x_2) \quad \cdots \quad (1)$

といった生産関数を考えるといった具合です。

 しかし、企業が複数の財を同時に生産することもありえます。これを「結合生産」と言いますが、この場合には、明示的に生産関数を示すことはできません。

 そこで、このような場合にどうするかについて、説明したいと思います。

結合生産

陰関数表示の生産関数

 生産関数は、$(1)$式のように陽関数で示すこともできますが、次のような形でも表現が可能です。

  $g(y \, , \, x_1 \, , \, x_2) = 0$

 これを陰関数表示の生産関数と言い、$y$について、この式を解いたものが、$(1)$式となっています。

 この陰関数表示の生産関数を用いることで、結合生産について、定式化が可能になります。

 企業は、2つの生産要素$x_1 \, , \, x_2$を用いて、生産物$y_1 \, , \, y_2$を生産しているとします。
 このとき、生産関数は、次のように、定義できます。

  $g(y_1 \, , \, y_2 \, , \, x_1 \, , \, x_2) = 0 \quad \cdots \quad (2)$

利潤最大化

 陰関数表示の生産関数を使った場合、生産物の価格を$p_1 \, , \, p_2$、生産要素の価格を$w_1 \, , \, w_2$としたとき、$(2)$式を用いて、次のような問題を解くことになります。

  $\pi = p_1 y_1 + p_2 y_2 \; – \; w_1 x_1 \; – \; w_2 x_2$

  $s.t. \quad g(y_1 \, , \, y_2 \, , \, x_1 \, , \, x_2) = 0$

 ラグランジュ関数$L$を

  $L = p_1 y_1 + p_2 y_2 \; – \; w_1 x_1 \; – \; w_2 x_2 + \lambda g(y_1 \, , \, y_2 \, , \, x_1 \, , \, x_2)$

とすると、一階条件は、

  $\dfrac{\partial L}{\partial y_i} = p_i + \dfrac{\partial g}{\partial y_i} = 0 \quad (i = 1 \, , \, 2)$

  $\dfrac{\partial L}{\partial x_i} = \; – \; w_i + \dfrac{\partial g}{\partial w_i} = 0 \quad (i = 1 \, , \, 2)$

  $g(y_1 \, , \, y_2 \, , \, x_1 \, , \, x_2) = 0$

となり、この3本の式を解いて得られた$y_i(p_1 \, , \, p_2 \, , \, w_1 \, , \, w_2)$と$x_i(p_1 \, , \, p_2 \, , \, w_1 \, , \, w_2)$が解となります。

 そして、この解のもと、利潤関数は、

  $\pi = p_1 y_1(p_1 \, , \, p_2 \, , \, w_1 \, , \, w_2) + p_2 y_2 (p_1 \, , \, p_2 \, , \, w_1 \, , \, w_2) \; – \; w_1 x_1(p_1 \, , \, p_2 \, , \, w_1 \, , \, w_2) \; – \; w_2 x_2(p_1 \, , \, p_2 \, , \, w_1 \, , \, w_2)$

となります。

結合生産(一般形)

 上記では2つの生産物と2つの生産要素という形で、生産物と生産要素を区別しましたが、陰関数表示の生産関数を用いると、生産物と生産要素を区別することなく、生産関数を定義できます。

 財を$z_i$、その価格を$p_i$としたとき、生産関数は

  $g(z_1 \, , \, z_2 \, , \, \cdots \, , \, z_n) = 0$

となります。

 $z_j > 0$ならば、生産物

 $z_j < 0$ならば、生産要素

と判断すればいいということです。

 そして、上記と同様に、ラグランジュ未定乗数法を使うと、

  $\dfrac{p_i}{p_j} = \dfrac{g_i}{g_j} \quad (i \, , \, j = 1 \, , \, \cdots \, n)$

という利潤最大化の必要条件を得ることができます。

おまけ

 具体的な数値についてみたいと思う方は、次も参考にしてください。

   生産者行動における結合生産に関する問題

参考

  西村和雄『ミクロ経済学

  武隈愼一『ミクロ経済学

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