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部分均衡から一般均衡の話になったときの重要ポイント

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投稿ミクロ経済学初級
ミクロ経済学を学ぶ際に、部分均衡から一般均衡の話になったときに、戸惑いやややこしさを感じることがあると思います。なぜ、そう感じるのかを含め、重要なポイントを説明します。
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はじめに

 ミクロ経済学において、部分均衡と一般均衡という2つの話が出てきます。

 部分均衡とは、ある財の供給と需要の関係を見たもので、一般的に経済学というと思い浮かぶ下図のようなものです。
 供給と需要が一致するところで、価格と量が決まるというやつですね。



 他方、一般均衡の話になると、エッジワース・ボックスという下図のようなものが登場してきます。


 上記のような供給や需要などのグラフとは全く違うものが登場してきて、

  「何だこれは!」
  「需要と供給はどうなったんだ!」 など、

戸惑うことがあるかと思います。

 そこで、部分均衡と一般均衡の違いを含めて、重要なポイントを説明します。

ミクロ経済学の中の位置づけ

 教科書的に簡単に説明すると、

  「部分均衡は1つの財を分析したもので、一般均衡は複数の財を分析するもの」

という話になります。

 ただこれでは、今一つピンとこないかもしれませんので、ミクロ経済学全体から、整理してみましょう。

 そしてミクロ経済学全体を整理したのが、下表になります。

消費者の数
1人複数
財の数1財パターン1
部分均衡
パターン2
部分均衡の一部
複数パターン3
消費者行動
企業行動
パターン4
一般均衡

 パターン1は、消費者が1人(もしくは同質的な消費者が複数)で財が1つの場合です。
 消費者は1つの行動パターンをとるだけで、1つの需要行動をとり、供給も1つの財だけなので、1本の供給曲線で表すことができます。
 そのため、需要と供給という分かりやすい形で、グラフや論理を構築することができます。

 パターン2は、財は1つなのですが、複数の違うタイプの消費者がいる場合です。
 ただ、このパターンでは、消費者が複数でも最終的には足し合わせれば、1つの需要曲線で表現できるため、部分均衡の1つとして扱うことができます。

 パターン3は、消費者は1人なのですが、財が複数ある場合です(一般的には2財で説明されます)。
 これは、ミクロ経済学の最初に出てくる消費者行動の議論です。消費者行動については、財Xと財Yについて、消費者がどのような行動をとるのか、財Xの価格が変化したらどうなるのかなどの話がありますが、2つの財を扱った分析となっています。
 また、企業行動においても、生産可能集合や限界変形率などで、財が複数ある場合の議論が行われます。

 パターン4は、複数タイプの消費者がいて、財も複数ある場合です。
 これが、一般均衡の議論になります。

 つまり、部分均衡では1財・1消費者であったのが、一般均衡では複数の財・複数の消費者に議論が変わっているというのが、まずは抑えるべきところです。

重要なポイント

 これを踏まえて、大事なポイントがあります。それは、

  「部分均衡と一般均衡では、分析の目的が異なっている」

という点です。

 部分均衡では、ある需要と供給のもとで、財の価格や量がどうなるかが、分析の目的となっています。
 しかし、一般均衡では、需要と供給は均衡するものとして、2つの点で、問題が重要となります。

 1つは、(消費者行動の議論でも出てきた話ですが)複数存在する財のそれぞれの関係です。
 例えば、ある財の価格が変化したとき、他の財へも影響があるでしょう。例えば、牛肉と豚肉があるとして、牛肉の価格が非常に下がったとすれば、牛肉の需要量は増加します。他方、豚肉の需要は減少すると思われます。
 このように、複数の財があることで、部分均衡では扱えない問題があります。

 2つは、複数のタイプがいる消費者の問題です。
 部分均衡では1人の消費者がいるだけなので、その人が最適(良い状態)であれば、問題はありません。しかし、一般均衡では複数の消費者がいるので、それぞれの状態が最適である必要があります。
 例えば、AとBの2人の消費者がいるとき、Aだけが得をするようなことはBにとっては受け入れがたく、経済全体としては望ましくないでしょう(逆も同様です)。
 そこで、AとB両方が納得するような財の配分が必要となることになります(哲学的には難しい話になるのかもしれませんが、経済学的には「パレート最適」「パレート効率」という基準が設けられます)

 このように、部分均衡では財の価格や量がどうなるのかというのが分析の目的でしたが、一般均衡では

  「複数の財の関係の中で、特に複数の消費者を満足させる状態はどういう状態なのか」

が分析の大きな目的となっています。
(なお、一般均衡でも生産が組み込まれた議論・モデルが登場しますが、目的が異なるので、当然ながら、複数の消費者にとってはどうなるのかが、議論の結論になります)

まとめ

 以上のように、部分均衡と一般均衡では、分析の目的が違っています。

 この点を認識しないで、部分均衡の目的のままで、一般均衡の話に入ると、戸惑いや訳が分からなくなるということです。

 教科書によってはあまりこの点が明示されていなかったり、見落としがちな部分なので、注意しましょう。

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