限界効用や限界代替率について、どうも数式だけではイメージしにくいため、計算例や数値例を掲載してみました。
分かりやすくするため、と
の2財があり、効用関数は
とします。
その上で、効用関数を特定化し、限界効用・限界代替率の計算例・数値例を出したいと思います。
なお、財の限界効用を
、財
の限界効用を
、限界代替率を
とすると、次のように表すことができます。
、
、
例1
効用関数が、次のような場合:
を
と
でそれぞれ微分すると(
と
でそれぞれ割り算すると)、財
の限界効用
、財
の限界効用
は、
、
となります。
そして、限界代替率は、次のようになります。
限界代替率は、財が1単位減少したとき、効用を維持するために必要な財
の量を表します。この効用関数のもとでは、財
が1単位減少しても、財
が1単位増えれば、効用は維持されることが分かります。
例2
効用関数が、次のような場合:
を
と
でそれぞれ微分すると(
と
でそれぞれ割り算すると)、財
の限界効用
、財
の限界効用
は、
、
となります。
そして、限界代替率は、次のようになります。
このときには、財と財
の現在の消費量で、限界代替率
は変わってくることが分かります。
例えば、財の消費量は財
と同じでも、
の消費量は1と100の場合では、
、
となり、のときのほうが、少ない財
の増加で効用が維持されることが分かります。
言い換えれば、この効用関数では、財の消費量が多いときは、十分に財
があるので、多少財
の消費が減っても、多く財
を増やさなくても、効用は変わらない形になっています。
例3
効用関数が、次のような場合:
を
と
でそれぞれ微分すると、財
の限界効用
、財
の限界効用
は、
、
となります。
なお、例1・例2とは異なり、効用関数において、が2乗になっているので、単なる
で割り算すればいいというわけではないので、ご注意ください。
そして、限界代替率は、次のようになります。
この効用関数は、例2の効用関数よりも、
が2乗されており、より
の消費で効用が高まりやすい形になっています。言い換えれば、この例3の効用関数のほうのが、例2の効用関数よりも、財
の消費量減少の痛みは大きい形です。
このため、限界代替率も
であり、例2よりも例3のほうが、財が1単位減少したとき、効用を維持するために必要な財
の量も多くなっていることが分かります。