デュレーション
金利が上昇すると、債券価格は下落するというように、金利と債券価格は逆方向の動きをしますが、金利の変化に対して、どれだけ債券価格に影響を与えるのかが、気になるところです。
このように、金利の変化に対する債券価格への影響を指標化したものが、「デュレーション」(修正デュレーション)です。
式としては、債券価格を$B$、金利を$r$としたとき、デュレーション$D$は、次のようになります。
$D = \; – \; \dfrac{d B / B}{d r}$
金利が1%変化したとき、債券価格の変化率がどうなるかを見る指標となっています。
なお、債券価格と金利は逆方向に動くので、分かりやすくするため、マイナスがついています。また、弾力性のような式になっていますが、金利なので、分母は変化率ではなく、金利の増減になっています。
例えば、デュレーションが9ならば、金利が1%上昇したとき、
0.01 × 9 = 0.09
で債券価格は9%下落することになります。
投資期間(残存期間)との関係
金利が上昇したとき、債券価格は下落しますが、これは2つの意味を持っています。
1つは、金利上昇に伴う金利から得られる収益の増加であり、もう1つは債券価格の下落に伴う収益の減少です。
つまり、金利上昇は、投資家にとっては、プラスの面とマイナスの面があるということです。
そうしたときに、このプラスの面とマイナスの面が同じになるのは、債券価格の変化率と、金利の増加に投資期間(残存期間)$n$を掛けたものに等しいはずです。
なので、
$\; – \; \dfrac{d B}{B} = n d r$
が成り立ちます。これを式変形すると、
$n = \; – \; \dfrac{d B / B}{d r}$
であり、右辺は正しくデュレーションの式となっています。
すなわち、投資期間(残存期間)とデュレーションが一致するときには、金利上昇に伴う債券価格の下落というマイナスの面と、金利増加によるプラスの面が一致することになります。
このことから、
デュレーション > 投資期間 のとき、収益はマイナス
デュレーション = 投資期間 のとき、収益はプラス・マイナスゼロ
デュレーション < 投資期間 のとき、収益はプラス
となります。
例えば、上記の例でいえば、デュレーションが9ならば、金利が1%上昇したとき、
0.01 × 9 = 0.09
で債券価格は9%下落することになりますが、投資期間(残存期間)が10年ならば、金利からの収益は10%(=1%×10年)となるので、債券価格下落のマイナス効果を打ち消し、1%分収益が高くなることが分かります。
参考
釜江廣志(編集)『入門証券市場論』
早稲田大学大学院ファイナンス研究科・早稲田大学ビジネススクール(編集)『MBA・金融プロフェッショナルのためのファイナンスハンドブック』