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公共財の最適な供給量を決めるリンダール・プロセスについて

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投稿ミクロ経済学初級
ミクロ経済学や公共経済学において、公共財の最適な供給量を決めるリンダール・プロセスについて、説明しています。
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はじめに

 公共財は、各個人の私的な自発性に任せておくと、社会的に望ましい水準よりも少なくしか供給されず、パレート最適な公共財供給は実現されません。

 このときには、政府は公共財供給について、積極的に関与して、社会的に望ましい公共財供給を実現する必要があります。

 そして、最適な公共財供給が行われる仕組みとして、「リンダール・プロセス」があります。

リンダール・プロセス

 リンダール・プロセスは、公共財について、その需要量や価格を調べて、最適な公共財の供給を決定しようというものです。

 プロセスとしては、次のようになります。

①政府によるリンダール価格の提示
 まずは、政府が、消費者の公共財に対する価格(これを、「リンダール価格」や「リンダール税」と言います)を、各消費者に提示します。

②消費者による公共財需要量の報告
 政府により提示されたリンダール価格をもとに、各消費者は、効用最大化問題を考慮して、公共財需要量を政府に報告します。

③政府によるリンダール価格の調整
 各消費者から報告された公共財需要量を見て、各消費者間でその需要量が一致しているかをチェックします。
 
 公共財需要量が一致していなければ、報告された公共財需要量が多い消費者へはリンダール価格の引き上げ、報告された公共財需要量が少ない消費者へはリンダール価格の引き下げを行い、各消費者へリンダール価格の再提示を行います。
 (①に戻る)

④リンダール均衡の実現
 各消費者間で公共財需要量が一致するまで、このような調整を繰り返します。
 そして、各消費者間で公共財需要量が一致したとき、調整を終了します(なお、このような調整の結果得られた均衡を、「リンダール均衡」と言います)

リンダール・プロセスの特徴

 リンダール・プロセスにより実現されたリンダール均衡は、サミュエルソンの条件を満たしており、パレート最適であります。
 また、公共財を多く需要する消費者ほど、リンダール価格は上がるので、応益的な費用負担となっています。

 ただ逆に、このようなリンダール・プロセスを行うのは、現実的には非常に煩雑で難しい面があります。
 また実際に実現できたとしても、各消費者が真実の公共財需要量を報告するとは限りません。各消費者は自分の公共財需要量は分かっていますが、政府は各消費者の真実の公共財需要量は知らず、情報の非対称性が生じており、フリーライド問題が生じることになります。

参考

  奥野正寛(編著)『ミクロ経済学

  小塩隆士『公共経済学

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