スポンサーリンク

合成財の定理について

スポンサーリンク
 
投稿ミクロ経済学初級
経済学における複数財の問題を簡略化する合成財の定理について、説明します。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

はじめに

 $n$種類の財があると、消費者は$n$種類の財の価格$p_i$のもと、$n$種類の財の需要量$x_i$を決めていくことになります。

 ただ、経済分析にあたり、そのうちの1つの財にのみ注目したいときがあります。
 このとき、他の$n \; – \; 1$種類の財をまとめたほうが便利だと思われるでしょう。この$n \; – \; 1$種類のまとめた財を「合成財」と呼ぶと、合成財内ではそれぞれの財の関係は不変であるならば、分析したい財と合成財だけに、問題は集約でき、複数財の問題ではなく、2財の問題として取り扱えるはずです。

  $x_1 \, , \, x_2 \, , \cdots , x_n$

   ↓ $x_2$財から$x_n$財をまとめる

  $x_1 \, , \, [x_2 \, , \cdots , x_n]$

   ↓ まとめた合成財を$X$とする

  $x_1 \, , \, X$

 このような考えのもと生まれたのが、合成財の定理です。

合成財の定理

 $n$種類の財があり、それぞれの価格を$p_i$、需要量を$x_i$、所得を$E$と、間接効用関数$V$は、次のようなものになります。

  $V(p_1 \, , \, p_2 \, , \, \cdots \, , \, p_n \, , \, E)$

 ここで、2財目以降の価格について、何らかの理由で不変$\bar{p_j}$になったとするとします。そうすると、2財目以降の価格については、パラメーター$P$を用いると、次のように表せます。

  $p_j = P \bar{p_j} \quad \cdots \quad (j = 2 \, , \, \cdots \, , \, n)$

 そうすると、合成財の数量を$X$と考えれば、合成財については、

   合成財の数量 : $X = \bar{p_2} x_2 + \cdots + \bar{p_n} x_n$

   合成財の価格 : $P$

と考えることができます。

 これを用いて、上記の間接効用関数$V$を、第1財と合成財で整理した間接効用関数$V^*$を定義できます。

  $V^*(p_1 \, , \, P \, , \, E) \equiv V(p_1 \, , \, P \bar{p_2} \, , \, \cdots \, , \, P \bar{p_n} \, , \, E)$

 この新たに定義した$V^*$は、元々の間接効用関数$V$の性質をもっていることが知られており、これが「合成財の定理」となっています。

参考

  奥野正寛・鈴村興太郎『ミクロ経済学Ⅱ

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました