概要
フィッシャー方程式とは、物価を考慮した金利・利子率を表す式で、実質金利を求める式となっています。
例えば、金利というものを考えたとき、インフレで物価の上昇が大きいとき、実質的に金利から得られる価値は低くなります。お金を預金したとき、金利が10%であっても、物価上昇率が10%ならば、その資産の価値は増えていることにはなりません。
逆に、デフレで物価が下落しているとき、金利が0%ならば、お金を預金しても、金利はつきませんが、物価上昇率が-10%ならば、そのお金で10%分の多くの物を購入することができます。
このように、金利を考えるとき、物価というものを考える必要があります
そこで、金利に対して、この物価というものを考慮したものが、フィッシャー方程式になります。
フィッシャー方程式
数式としては、次のような式です。
名目金利 = 実質金利 + 期待インフレ率
実質金利の上下は当然ながら、名目金利に反映されますが、同時に期待インフレ率が高くなると名目金利が大きくなり、期待インフレ率が低くなると、名目金利も下がるという式になっています。
なお、ここで「期待」というのは、金利は将来受け取るものなので、現在の物価上昇率(インフレ率)ではなく、将来の物価上昇率(インフレ率)を考えるという意味です。
数値例
ここで、数値例を見てみましょう。
(例1)インフレの場合(実質金利2%、期待インフレ率3%)
上記の数式を当てはめると、次のようになります。
実質金利(2%) + 期待インフレ率(3%) = 名目金利(5%)
(例2)デフレの場合(名目金利0%、期待インフレ率-3%)
フィッシャー方程式は、次のようも書くことができます。
実質金利 = 名目金利 - 期待インフレ率
そこで、数字を当てはめてみると、
名目金利(0%) - 期待インフレ率(-3%) = 実質金利(3%)
デフレ経済においては、いくら名目金利を0%にしても、実質金利はプラスになります。
現在の日本経済は、デフレ・低金利という状態にあります。
そして、現在の日本経済は、実質金利(資金調達コスト)は増加していると言えるのかもしれません。
最後に、このフィッシャー方程式は、数学的な導出方法があるので、知りたい方は下記を参考にしてください。