こんな人におすすめ
マクロ経済学の基本モデルであるIS-LM分析ですが、入門者・初級者にとっては、数式が出てきたり計算をしたりと、とっつきにくい部分があるかもしれません。
そこで、
「数値を動かして、IS曲線がどうなるか、LM曲線がどうなるかがグラフで分かったら、理解しやすいかも」
「IS曲線・LM曲線について、もっと直観的に理解したいと思うかも」
ということで、数値を入力するだけで、IS曲線・LM曲線がどうなるかを、エクセルで作ってみました。
「数字を入れて、IS曲線・LM曲線を動かしたい!」
「自分でIS曲線・LM曲線を動かすことで、分かりやすくIS-LM分析を理解したい!」
という方にお勧めです。
ご自由にダウンロードして、体験してみてください。
そもそもIS-LM分析とは?
本稿に興味を持たれた方は、IS-LM分析について、全く知らないという方はいないと思いますが、簡単にIS-LM分析を説明します。
IS-LM分析とは、財市場(IS曲線)と貨幣市場(LM曲線)が均衡しているとき、国民所得や利子率がどうなるかを分析する経済理論です。
グラフとしては、次のようなものになります。
一般的に、IS曲線は右肩下がりのものになり、利子率が高いと投資が抑制され、国民所得は下がります。逆に、LM曲線は右肩上がりのものになり、利子率が高いと貨幣市場を均衡させるべく国民所得は上がることになります。そして、このIS曲線とLM曲線が交わるところが、均衡所得・均衡利子率になります。
ここで、政府支出が増えたとすると、IS曲線は右にシフトします。グラフで言えば、下のように、IS曲線がIS’曲線に移動します。その結果、LM曲線との交点も右に移り、均衡所得・均衡利子率もそれぞれ上昇することになります。
そして、このような曲線のシフトなどを、実際に数字を入れてみて、どのようになるかを体験できるように、エクセルを作成しました。
使い方
以上がIS-LM分析の概要ですが、ここからは、エクセルの使い方です。
エクセルのシートとしては、次のようなものになっています。
入力シートの黄色のセルに、適当に数字を入れれば、グラフが変化します。
もっと言えば、
・消費関数
・投資関数
・政府支出
・貨幣需要関数
・マネーサプライ
の数字(a~gの値)を自由に変更できます。
aは消費関数の係数、b・cは投資関数の定数と係数、dは政府支出、e・fは貨幣需要関数の定数と係数、gはマネーサプライとなっています。
そして、入力した数値について、均衡国民所得と利子率が算出されるようになっています。
例えば、マネーサプライ(g)を600から700に変化させたとしましょう。
このとき、LM曲線は右下にシフトし、均衡国民所得は464.3から535.7に増加し、均衡利子率は6.4から3.6に低下することが分かります(上のエクセルの図と比較してください)。
モデルについて(参考)
直観的にIS-LM分析を理解することを目的としているので、どのようなモデルかについて、説明は不要かもしれません。
ですので、
「どんなモデルかはどうでもいい」
という方は飛ばしてもらって結構です。
ただ、念のため、モデルについて説明すると、簡単な閉鎖経済のIS-LMモデルとなっています。
(税や輸出入などを入れたりもできますが、シンプルなものにしています。
適宜、改変して、それらを入れていただいても構いません。改変も自由です)
モデルとしては、次のようなものです。
(曲線と言っていますが、線形のモデルにしてます)
$ Y$ :国民所得、$ C$ :消費、$ I$ :投資、$ r$ :利子率、$ L$ :貨幣需要、$ M$ :マネーサプライ、$ P$ :物価
$ a, c, f$ :係数、$ b,e$ :定数
(IS曲線)
所得均衡式 : $ Y=C+I+G$
消費関数 : $ C=aY$
投資関数 : $ I=b-cr$
(LM曲線)
貨幣市場均衡式 : $ L=\dfrac{M}{P}$
貨幣需要関数 : $ L=Y+(e-fr)$
マネーサプライ : $ \dfrac{M}{P}$
なお、政府支出 $ G$、マネーサプライ $ M/P$ は一定(定数)としています。
まとめ
初級者向けであり、税や輸出入がないので、ちょっと物足りないかもしれません。
(今後、税や輸出入を入れたりと、もう少し凝ったものを用意するかもしれませんが…)
ただ、IS-LM分析について、それぞれの曲線がどのように動くのか、初級者にとっては直観的に理解でき、十分に体験できると思います。
無料ですので、ご自由にダウンロードして、体験してみてください。