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スポット・レートとフォワード・レート

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投稿国際金融論初級
国際金融論におけるスポット・レート(直物レート)とフォワード・レート(先物レート)について、説明します。
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はじめに

 海外と通貨取引において、為替相場は絶えず変動しているため、いつのタイミングで取引を行うかが重要です。

 通常は、現在の為替レートで取引を行うというのが、一般的な考えでしょう。

 しかし、貿易をやっている場合には、輸送などが必要であることから、お金のやり取りと物の動きがズレることがあります。実際に物は動くのは将来ですが、現時点で取引の金額を確定させておきたいということがあります。

 また、投資家などは、為替レートの変動から儲けようと、現在の為替レート以外のレートで取引を行いたいと思うかもしれません。

 このようなことから、為替レートには、スポット・レートとフォワード・レートというものがあります。

スポット・レートとフォワード・レート

 スポット・レート(直物レート)とは、現時点での為替レートのことで、このレートで通貨の取引が行われます。

 他方、フォワード・レート(先物レート、先渡レート)は、現時点で売買契約を結ぶのですが、実際に取引が行われるのは将来(例えば、1ヶ月後や3ヶ月後)で、その際に使われる為替レートのことです。

 下表を見てみましょう。
 実際の為替レートは、0期にはS(0)で、k期後にはS(t)となるとします。

 スポット・レートでは、現時点において、現時点の為替レートS(0)で取引が行われます。他方、フォワード・レートでは、現時点で契約を行われますが、実際に取引が行われるのはt期です。そしてt期に使われる為替レートは現時点で決めておいたF(t)で取引が行われます。

現在(0期)将来(t期)
実際の為替レートS(0)S(t)
スポット・レート契約・取引
S(0)
フォワード・レート契約
(F(t)を決定)
取引
F(t)

スポット・レートとフォワード・レートの比較

 フォワード・レートとスポット・レートを比較すると、次のことが一般的には言えます。

  ・将来の為替レートであるS(t)とF(t)は、必ずしも一致はしません。

    S(t) ≠ F(t)

   なぜならば、為替レートは変動するので、通常は一致しないことが多いからです。

  ・現在の為替レートであるS(0)とF(t)は、必ずしも一致はしません。

    S(0) ≠ F(t)

   なぜならば、F(t)は現時点で決められた為替レートですが、やはり将来の予想なども含まれるからです。
   例えば、為替レートの上昇が予想されるときには、現在の為替レートよりも高いレートで、フォード・レートが設定されるでしょう。

直先スプレッド

 このように、スポット・レートとフォワード・レートは必ずしも一致はしないことから、その差が気になるところです。

 そこで、現在のスポット・レートとフォワード・レートの差を「直先スプレッド」と言います。

  直先スプレッド = S(0) – F(t)

 そして、

  直先スプレッド > 0ならば、フォワード・ディスカウント

  直先スプレッド < 0ならば、フォワード・プレミアム

と言います。

 例えば、直先スプレッド > 0で考えると、スポット・レートよりもフォワード・レートのほうが安く、フォワード・レートが値引きされている形になるので、フォワード・ディスカウントと言います。逆に、直先スプレッド < 0の場合には、スポット・レートよりもフォワード・レートのほうが高く、スポット・レートよりもフォワード・レートはプレミアムがついている形になるので、フォワード・プレミアムと言います。

参考

  藤井英次『コア・テキスト国際金融論

  佐々木百合『国際金融論入門

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