はじめに
産業連関表においては、行列を用いた計算を説明します。
基本モデル
$ n$部門の場合を考えます。
各部門の生産量を$ x_i ,\ (i = 1, 2, \cdots \, n)$、最終需要を$ f_i ,\ (1, 2, \cdots \, n)$、中間需要を$ x_{ij} ,\ (i,j = 1, 2, \cdots \, n)$とします。
このとき、各部門について、生産量は中間需要と最終需要に等しいので、
$ x_1 = x_{11} + x_{12} + \cdots + x_{1n} + f_1$
$ x_2 = x_{21} + x_{22} + \cdots + x_{2n} + f_2$
$ \vdots$
$ x_n = x_{n1} + x_{n2} + \cdots + x_{nn} + f_n$
となります。ここで、投入係数$ a_{ij} ,\ (i,j = 1, 2, \cdots \, n)$として、
$ a_{ij} = \dfrac{x_ij}{x_i}$
と定義すると、上記の$ n$本の式は、
$ x_1 = a_{11} x_1 + a_{12} x_1 + \cdots + a_{1n} x_1 + f_1$
$ x_2 = a_{21} x_2 + a_{22} x_2 + \cdots + a_{2n} x_2 + f_2$
$ \vdots$
$ x_n = a_{n1} x_n + a_{n2} x_n + \cdots + a_{nn} x_n + f_n$
となります。
ここで、これらの式を行列で表します。
生産量を$ n \times 1$ベクトル$ \mathbf{F}$とし、最終需要を$ n \times 1$ベクトル$ \mathbf{F}$とします。
そして、投入係数行列$ n times n$を$ \mathbf{A}$とすると、中間需要は$ \mathbf{AX}$となるので、
$ \mathbf{AX} + \mathbf{F} = \mathbf{X}$
が成り立ちます。
この式を変形すると、
$ \mathbf{X} = (\mathbf{I} – \mathbf{A})^{-1} \mathbf{F}$
となります。
参考
宮沢健一『産業連関分析入門』