経済波及効果
経済波及効果とは、
「ある事象・行動が起こり、ある経済主体に影響を及ぼすとき、その経済的な影響が、その経済主体以外の主体にも与える経済的な効果」
です。
経済的に分かりやすいのが、公共事業で新たにインフラ整備を行ったとき、直接的にはそのインフラ整備を行った建設会社が儲かるのですが、その効果が他の人たちにも及び、他の人たちも儲かる状況が経済波及効果と言えます。
文章で説明するとややこしいのですが、経済学において、多くのモデルにおいて、基本的な考えは、数式一本で済みます。
数式とは、高校で習うような等比級数の方程式です。
$a + a k + a k^2 + \cdots$
色々なモデルがありますが、経済波及効果については、この式に基づいていると言えるでしょう。
そして、
直接効果:$a$
間接効果(波及効果):$a k 、a k^2 、\cdots$
となります。
通常、$k<1$となるので、波及効果はどんどんと波及がすすむにつれ、小さくなります。
そして、経済波及効果が大きいか小さいかは、この等比級数がどこまで続くかという問題になります。
経済効果について、直接効果だけならば
$a$
が経済効果となり、次の経済主体にのみ波及するならば、
$a + a k$
が経済効果になります。$t$まで経済波及効果が続くならば、次のようになります。
$\displaystyle a + a \sum_{i=1}^t k^i$
そしてこの考えは、
・ケインズの乗数理論
・貨幣の信用創造
・産業連関表 など
色んなところで、登場します。時系列モデルでも、簡単な
$a_t = c + k a_{t-1}$
という形で考えれば、
$a_t = c + k(c + k a_{t-2}) = c + ck + k^2 a_{t-2}$
$a_t = c + ck + k^2 (c + k a_{t-3}) = c + ck + c k^2 + k^3 a_{t-3}$
という形で繰り返せば
$\displaystyle a_t = c + c \sum_{i=1}^t k^i + k^t a_0$
という感じになり、等比級数の式になります。
以上から、経済波及効果というものを考えるとき、
・経済波及効果とは、数学的には等比級数である
・経済波及効果の大小は、この等比級数がどこまで続くのか
ということになります。