はじめに
経済学において、ミクロ経済学やマクロ経済学などを学ぶことがあると思います。
そして、ちょっと上級な本や講義などでは、数式が出てきたりして、非常に難しく感じるでしょう。
特に、初心者にとっては、その言葉自体もなじみがない中、学び進めていくので、一層、難しく思ってしまいます。
しかし、私が思うのは、理論自体が難しいのではなく、数学を使ったり、説明がややこしいから、理論が難しく感じてしまうのではと思っています。
理論の目的
そもそも何のために理論があるかを考えれば、一言でいえば、
「複雑な経済現象を簡略化するため」
といえます。
経済現象においては、複数のエージェントが様々な行動を起こすため、それぞれをそのまま取り扱おうとしたときには、分析は不可能です。
そこで、複雑な経済現象について、一定の法則を考えたり、単純化して分析するために、理論があります。
例えば、消費者の効用最大化という問題を考えます。消費者は、効用が大きくなるように、消費を行うというものです。
このとき、消費者には、色々な人間がいるので、全ての人が効用を大きくするように、行動するとは言えません。消費についても、消費量が大きくなれば、効用が高まるという論理ですが、すべての人がそうではないでしょうし、もしかしたら修行僧は消費が少ない方が効用が高まっているかもしれません。
このように、細かなことを言っていたら、論理が進まないので、物事を単純化して検討しようというが、理論になります。
ですので、理論展開した結果、出てくる答えは、意外と単純なものだったりもします。
例えば、完全競争市場における企業の利潤最大化条件について、数式が出てきて、微分をしたりもしますが、結論は「価格=限界費用」というものだけです。
このように、理論は、経済現象を単純化したり、複雑・ややこしいものを取り除いて分析しようというものです。
理論展開の難しさ
しかし、理論を難しく感じるのは、その説明や理論展開が難しいからではないかと、私は思っています。
単純な結論を導き出すために、ややこしい数学を用いたりして、もっともらしく理論展開する。こんなことをしなくても、結論が得られるのにと思ったりもすることも多いでしょう。
勿論、なぜこのようなことをしているのかといえば、理由があります。
近年ではビックデータなど多くのデータが出てきていますし、実験経済学というものもありますが、本来的には、経済学は実験などはやりにくい学問です。
例えば、金利を上げたら、経済がどのようになるかを知りたいからと言って、実験として金利を上げるなんてことは不可能です。
実験がやりにくいからこそ、一生懸命、論理が正しいのかを検討するために、数学を使ったりして、理論展開が難しくなったりしています。