はじめに
マクロ経済学におけるIS-LM分析において、政府による政策がどのようになるかが重要となります。
大きく分けると、財政政策と金融政策に分けられますが、財政政策について考えると、政府支出を増やしたとき、その効果がどうなるかがポイントです。
通常考えられるように、政府支出を増やせば、所得は増加することになりますが、その効果を減少させる「クラウディングアウト」というものがあります。
この「クラウディングアウト」について、説明します。
クラウディングアウト
ケインズモデルでIS曲線とLM曲線を考えます。
このときに、財政支出を増やしたとき、どのようなプロセスをとるかを考えましょう。
プロセスをまとめると、次のようなグラフになります。
①政府支出増加(Y0 → Y1)
政府が財政支出を増やすと、単純に所得は増加することになります。
②IS曲線のシフト(IS → IS’)
IS曲線は右上にシフトし、所得と利子率はE0からE1に移動します。
③利子率の上昇(E1 → E2)
政府支出の増加により、一時的に貨幣需要は増加し、E1において、貨幣市場では貨幣の超過需要が生じます。
この超過需要が均衡するように、貨幣の保有コストが増大し、利子率が上昇します。
④所得の減少(Y1 → Y2)
利子率が上昇した結果、設備投資が抑制され、所得と利子率はE1からE2に移動します
そして、所得はY1からY2になります。
このように、政府支出を行い、所得を上げようとしますが、利子率の上昇により、政府支出の効果が抑制されることを、クラウディングアウトと言います。
グラフでいえば、Y0からY1に所得を増やそうとしますが、結局はY2になってしまう状態のことです。
参考
齊藤誠・岩本康志・太田聰一・柴田章久『マクロ経済学』
鴇田忠彦・藪下史郎・足立英之『初級・マクロ経済学』