収束
成長理論のソロー・モデルでは、経済が定常状態に成長していくことが想定されています。
同時に、同じ成長するにしても、GDPが低い国では成長率は高く、GDPが高い国では成長率が低くなるとも想定されます。
これが実際に成立している場合には、「収束」していると言いますが、実際にどうなのかについて、検証が行われており、その検証方法について説明します。
方法
検証方法としては、大きく分けると、β収束とσ収束の2つがあります。
β収束
GDPが低い国では成長率は高く、GDPが高い国では成長率が低くなることを考えれば、これをそのまま推定するというのが、スタンダードな考えでしょう。
$y$を1人当たりGDPとすると、次を推定するというものです。
$\dfrac{\dot{y}_t}{y_t} = \alpha + \beta y_0 + e_t$
被説明変数の$\dot{y}_t/y_t$は$t$期の1人当たりGDPの成長率、説明変数の$y_0$1は、初期時点の1当たりGDPで、$e_t$は誤差項です。
上記の考えをそのままモデル化しており、
$\beta<0$
ならば、収束していると考えます。そしてこれを、「β収束」と言います。
σ収束
β収束は、直観的に分かりやすいのですが、「回帰の誤謬」の可能性をはらんでいます。
そのため、1人当たりGDPについて、時間と共に分散が小さくなる傾向があることから、この傾向を用いて、収束しているかどうかを判断しようというのが、「σ収束」になります。
ただこれについても、なぜそうなるか、理論との整合性などといった点から、問題があるとされます。
参考
二神孝一・堀敬一『マクロ経済学』