産出量を$Y$ 、資本を$K$ 、労働力を$L$ としたとき、コブ=ダグラス型生産関数は、次のようなに表されます。
$Y = A K^{\alpha} L^{\beta}$
資本や労働力を用いて、生産することを表しています。
ところで、政府支出$G$もこの生産関数に入ってきてもいいのではと思うことがあると思います。
結論を言えば、
「政府支出を入れても問題なし」
であり、次のような生産関数も考えることができます。
$Y = K^{\alpha} L^{\beta} G^{\gamma}$
ただなぜ、このような生産関数が用いられないかというと、4つの理由があると思います。
1つは、まずはモデルに政府活動を想定していなければ、そもそも政府支出はどうでもいいので、無視されます。違う言い方をすれば、特に基本的なモデルにおいては、政府活動を入れると、ややこしくなるので、政府支出は無視して、モデルが構成されます。
そして、政府支出を入れるときには、基本モデルを前提に、それを応用したモデルで、政府活動もモデルに組み入れられます。
2つは、政府は生産活動をしていない、政府は直接的には企業の生産活動とは無関係という仮定のもとに、生産関数が構成されているからです。確かに、政府の公務員が直接的・間接的に企業の生産活動に関わる状況は考えにくいので、生産関数に政府支出を入れることは変な話になります。
3つは、政府支出を行うにあたっては、企業の生産活動に直接的に影響を与えるのではなく、間接的に影響がある場合があると考えます。分かりやすく言えば、政府支出の代表としては、補助金があるでしょうが、単純にお金を与えるならば、生産関数ではなく、利潤にプラスの影響があるだけです。
4つは、生産関数に政府支出が影響を与える場合も考えられます。例えば、政府支出を増やして、インフラを整備すれば、企業の生産性が上がり、生産にプラスに働くでしょう。ただこの場合には、企業の資本や労働力とは無関係なので、外部性として、生産関数に$G$が入ることになります。
$Y = G K^{\alpha} L^{\beta}$
ただ、この場合には、企業が最適化を行えるのは、$K$と$L$だけで、企業は政府支出$G$は調整できません。
以上をまとめると、コブ=ダグラス型生産関数に、なぜ政府支出が入っていないというのは、次のような場合を想定しているからです。
「モデルに政府を想定していない」
「政府支出は、企業の生産活動とは無関係」
「政府支出は、補助金などの形で企業へに影響を与えるが、企業の生産活動とは無関係」
「政府支出が生産活動に影響を与えるときには、生産関数では外部性として取り扱う」