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「レモンの原理」を図と簡単な数式で説明

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投稿ミクロ経済学初級
ミクロ経済学において、情報の非対称性である「レモンの原理」について、図と簡単な数式で説明します。
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レモンの原理

 レモンの原理とは、情報の非対称性による起こる現象の1つです。

 取引において、両者が等しく完全に情報を入手していたら、適切な価格・数量で、需要と供給が一致することになりますが、一方で情報が分からない状態ではそうにはなりません。

 中古車市場を考えるとしましょう。
 中古車なので、エンジンが綺麗な車から、ブレーキが摩耗している車など、様々な質の中古車があることになります。

 このとき、売り手は中古車の質を完全にわかっており、買い手は販売されている車の質を分からないと考えられます。

 本来ならば、その質に応じた値段で取引されるべきなのですが、買い手は質が分からないので、平均的な質を予想して、価格を考えます。売り手からすると、質のいい車を販売しても、その質に見合った価格では売れず、逆に質の悪い車を提供したほうが、質以上の価格で販売できることになります。

 そうすると、市場においては、質の悪い車しか提供されず、買い手は更に悪い質の車しか販売されていないことを予想するため、価格の低下を招くことになります。
 この結果、この中古車市場においては、質の悪い車しか残らなかったり、市場が成立しない状況になります。

 これが、「レモンの原理」です。

図で説明

 言葉だけでは分かりにくいので、図で説明しましょう。

 売り手の供給は、図の供給曲線のようになっているとします。ただ、価格B以下では儲からないので、売り手は供給しないとします(この意味で、価格B以下では、点線になっています)。

 他方、買い手を考えますと、情報が売り手・買い手で分かっていれば、需要は需要曲線Aで、数量Aと価格Aで取引が成立します。しかし、買い手は中古車の質が分からないので、需要は、需要曲線Aではなく、需要曲線Bになるとします。

 そうすると、価格低下などを招き、供給曲線と交わることがなく、需要と供給は一致しないことになり、取引が成立しないことがわかります。

簡単な数式で説明

 数式のほうが分かりやすい方のために、簡単な数式で説明します。

 需要量を$ D$、供給量を$ S$とし、価格を$ p$とします。
 このとき、需要関数と供給関数は、次のようになるとします。

  $ D = \mu a – b p \quad ( 0 \leq \mu \leq 1)$

  $ S = c p$

 ここで、$ a \, , b \, , c$は定数で、$ \mu$ は、品質予想のパラメーターとします。$ \mu$ が$ 1$のときは、完全に情報が分かっている状態を示しているとします。

 そして、需要と供給が一致するときには、価格と数量は、次のようになります。

  $ p = \dfrac{\mu a}{b+c}$

  $ S = D = \dfrac{\mu ac}{b+c}$

 この式から、$ \mu$ が小さいときほど、価格と数量が低下することが分かります。すなわち、品質予想で情報が分からず、悪い予想をするほど、価格・数量は低下します。

 そして、一定の価格以下で、供給が起こらない場合には、買い手が悪い品質でしか予想しなければ、市場が成立しないことになります。

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