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為替相場決定理論の1つであるマネタリー・アプローチについて

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投稿国際金融論初級
国際金融論において、為替相場決定理論の1つであるマネタリー・アプローチについて、説明します。
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はじめに

 為替相場がどのように決定されるかという問題について、いくつかの理論・モデルがあります。

 そして、その原因を貨幣市場の需要と供給に求めるが、「マネタリー・アプローチ」になります。

 例えば、自国の貨幣供給が増えると、相対的に外国通貨よりも自国通貨は価値が低下するので、減価(日本でいえば円安」になると考えるものです。

マネタリー・アプローチ

 マネタリー・アプローチについて、詳細に見ていきましょう。

 まずは、貨幣供給量を$M$、物価を$P$、貨幣需要を$L$、利子率を$r$、実質所得を$Y$とします。
 一般的なマクロ経済学の貨幣市場の均衡を考えると、

  $\dfrac{M}{P} = L(r \, , \, Y) \quad (L_r<0 \, , \, L_Y>0)$

となります。なお、$L_r$は利子率$r$による貨幣需要$L$の偏微分で、利子率が上昇すると、貨幣需要は減少することを示しています。同様に、$L_Y$は実質所得$Y$による貨幣需要$L$の偏微分で、実質所得が上昇すると、貨幣需要は増加することを示しています。

 この式を物価$P$について解くと、

  $P = \dfrac{M}{L(r \, , \, Y)}$

となります。

 外国においても同様に考えると、

  $P^* = \dfrac{M^*}{L^*(r^* \, , \, Y^*)}$

となります($*$がついているのは、外国での変数を表しています)。

 ここで、絶対的購買力平価を$\epsilon$とすると、

  $\epsilon = \dfrac{P}{P^*} = \dfrac{M}{M^*} \cdot \dfrac{L^*(r^* \, , \, Y^*)}{L(r \, , \, Y)}$

を得ることができ、これがマネタリー・アプローチにおける為替相場の決定式になります。

 式から分かるように、貨幣供給や貨幣需要などが変化したとき、為替相場も変化することになります。

変数の変化

 上記の式から、それぞれの変数が変化したとき、為替相場$\epsilon$がどのようになるかを見ていきましょう。

貨幣供給

 貨幣供給$M \, , \, M^*$が変化したときには、

  $\dfrac{\partial \epsilon}{\partial M} = \dfrac{1}{M^*} \cdot \dfrac{L^*(r^* \, , \, Y^*)}{L(r \, , \, Y)} > 0$

  $\dfrac{\partial \epsilon}{\partial M^*} = \; – \; \dfrac{M}{(M^*)^2} \cdot \dfrac{L^*(r^* \, , \, Y^*)}{L(r \, , \, Y)} < 0$

なので、自国の貨幣供給が増えたときには、為替相場$\epsilon$は大きくなります(減価することになります)。逆に、外国の貨幣供給が増えたときには、為替相場$\epsilon$は小さくなります(増価することになります)。

利子率

 利子率$r \, , \, r^*$が変化したときには、

  $\dfrac{\partial \epsilon}{\partial r} = \; – \; \dfrac{M}{M^*} \cdot \dfrac{L^*(r^* \, , \, Y^*) \cdot L_r(r \, , \, Y)}{(L(r \, , \, Y))^2} > 0$

  $\dfrac{\partial \epsilon}{\partial r^*} = \dfrac{M}{M^*} \cdot \dfrac{L^*_{r^*}(r^* \, , \, Y^*)}{L(r \, , \, Y)} < 0$

なので、自国の利子率が上昇したときには、為替相場$\epsilon$は大きくなります(減価することになります)。逆に、外国の利子率が上昇したときには、為替相場$\epsilon$は小さくなります(増価することになります)。

実質所得

 実質所得$Y \, , \, Y^*$が変化したときには、

  $\dfrac{\partial \epsilon}{\partial Y} = \; – \; \dfrac{M}{M^*} \cdot \dfrac{L^*(r^* \, , \, Y^*) \cdot L_Y(r \, , \, Y)}{(L(r \, , \, Y))^2} < 0$

  $\dfrac{\partial \epsilon}{\partial Y^*} = \dfrac{M}{M^*} \cdot \dfrac{L^*_{Y^*}(r^* \, , \, Y^*)}{L(r \, , \, Y)} > 0$

なので、自国の実質所得が増加したときには、為替相場$\epsilon$は小さくなります(増価ることになります)。逆に、外国の実質所得が増加したときには、為替相場$\epsilon$は大きくなります(減価することになります)。

まとめ

 以上をまとめると、次のような表になります。

貨幣供給の増加自国減価($\epsilon$↑)
外国増価($\epsilon$↓)
利子率の上昇自国減価($\epsilon$↑)
外国増価($\epsilon$↓)
実質所得の増価自国増価($\epsilon$↓)
外国減価($\epsilon$↑)

 貨幣供給や実質所得の変化に対する為替相場の影響については、直観的に理解しやすいと思います。

 しかし、利子率については、金利平価などを考えると、結論が全く逆になっている点がポイントです。
 金利平価においては、金利が高い国ほど為替も強くなる(増価)とされますが、マネタリー・アプローチにおいては、自国の利子率が上昇すると貨幣需要が減少し、貨幣市場の需給均衡から物価も上昇し、為替は減価するというプロセスを辿ることになります。

 ただ、このようなプロセスを経て、為替相場が決定されるため、マネタリー・アプローチは、購買力平価と同様に、長期的なモデルと考えられます。

参考

  佐々木百合『国際金融論入門

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