ビッド・アスク・スプレッド
通貨の売買を考えたとき、その買い値と売り値は同じではありません。
通常の商品の売買を考えた場合に、ある商品を仕入れ、その仕入れ値よりも高値で売るというのと同じです。
通貨において買い値と売り値は、それぞれビッドとアスクと言われます。
ビッド(bid):買い値
アスク(ask):売り値
そして、ビッドとアスクの差額を「ビッド・アスク・スプレッド」(bid-ask spread)と言います。
例えば、
ビッド:1ドル=125円
アスク:1ドル=126円
ならば、ビッド・アスク・スプレッドは1円となります。
ビッド・アスク・スプレッドの特徴
1つ目は、ビッド・アスク・スプレッドは取引・交換に対する手数料であり、企業にとっては利益・マージンであるので、ビッドよりもアスクのほうが大きくなります(ビッド<アスク)。
2つ目は、頻繁に取引される通貨のほうが、一般的にはビッド・アスク・スプレッドは小さくなります。
よく取引されれば、競争が発生し、企業にとっての利益であるビッド・アスク・スプレッドは小さくなるからです。日本においては、最も取引されるドルのビッド・アスク・スプレッドが最も小さいとされます。
3つ目は、同じ通貨でも、取引者によって、ビッド・アスク・スプレッドは異なることがあります。
取引者によって、相場の見方が異なっていたり、取引者自身のスタンスが異なるからです。例えば、相場が乱高下して、あまり売買を進めたくない場合には、ビッド・アスク・スプレッドを大きくしたり、逆に大量に売買をしたいときには、ビッド・アスク・スプレッドを小さくすることになります。
このように、取引者の思惑が、各取引者で違うため、ビッド・アスク・スプレッドが取引者で異なることが生じます。
例
例として、三井住友銀行の為替レートを見てみましょう。
三井住友銀行「リアルタイム為替レート」
円とドルやユーロなどを交換するレートが掲載されています。
三井住友銀行は日本の銀行なので、外貨を仕入れて、外貨を売るという形になるので、
外貨→円貨:ビッド
円貨→外貨:アスク
となります。
いずれも、「外貨→円貨」の場合のほうが、円の価格は低くなっています。そして、ビッド・アスク・スプレッドは、スイスフランが最も小さく、次に米ドルのスプレッドが小さくなっています。
参考
佐々木百合『国際金融論入門』