基本的なモデル
為替レートが、何によって決定されるのかという点について、いくつかの考え方があります。
それらの概要を入門者向けにまとめています。
【購買力平価】
いわゆる「ビッグ・マックレート」とも言われるもので、同じ商品を2国で購入するとき、それぞれの国の価格が為替レートに等しくなるというものです。例えば、日本でビッグ・マックが300円、アメリカでは$3だったとすれば、$1=100円になるというわけです。
もちろん、色々な商品があるので、ビッグ・マックだけで為替レートが決まるわけではありません。
ただ、商品の購入という面に着目し、最終的には、物価やインフレ率の違いが為替レートになると考えるのが、この購買力平価です。
【金利平価】
より一般的なのが、この金利平価です。
2国の金利差水準や金利差で為替レートが決まるというものです。
当然、金利が高い国はその国の通貨を欲しがる人が増えるため、為替レートも増価し、金利が低い国では逆に、為替レートが減価すると考えます。
【マネタリー・アプローチ】
マネタリーという言葉の通り、貨幣の需要と供給の関係から、為替レートが決定されるとするものです。
2国間で、それぞれの国の貨幣の需要量と供給量を比較し、相対的により貨幣が余っているほうが為替レートは減価すると考えます。
【ポートフォリオバランス・アプローチ】
資産残高によって、為替レートがきまるとするものです。
投資家が投資を行うときに、自国通貨建ての資産と外国通貨建ての資産の収益率を見ることになりますが、その収益率の違いが為替レートに反映されることになります。
金利平価に似ている部分もありますが、このアプローチでは、投資家は単純な金利ではなく、投資したときの期待収益を想定することになります。そのため、当然ながら、投資家は為替レートの変化が収益に大きな影響を与えるため、為替レートがどうなるかという予想為替レートもこのアプローチでは組み込まれます。
まとめ
いくつかのモデルがありますが、物価・金利・貨幣など、どの経済変数に着目するかで異なっています。
ただ、これらの変数を見たら分かるように、例えば、金利を下げれば物価は上がるなど、これらの変数の間でも関係性があるため、直目するところは違いますが、モデルとしてはつながっている面があります。
参考
小川英治・岡野衛士『国際金融』