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為替相場のパススルーについて

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投稿国際金融論初級
為替相場におけるパススルーについて、その概念を説明しています。
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パススルー

 為替相場が変化したとき、財・サービスの輸出入における価格が変化することになります。

 例えば、為替相場が増価(円高)したときには、これまでよりも財・サービスを自国ではより安く輸入できるため、価格も下がるでしょう。逆に、為替相場が減価(円安)したときには、財・サービスを自国ではより高い価格でしか輸入できないため、自国内での価格が上がることが予想されます。

 このように、為替相場の変化は、価格に影響を与えることが分かりますが、この影響を「パススルー」と言います。

 ただ、通常は為替相場が変化しても、価格に完全にパススルーすることはないと考えられます。

 例えば、外国通貨建てで貿易を行っているときには、為替相場の変動は関係ありません。また、為替相場が減価したとき、輸入品は高くなりますが、そのまま価格に転嫁できず、企業は利益の圧縮という形で対応するかもしれません。

 このように、為替相場の変化に対して、どれだけパススルーされるのかが、問題となります。

パススルー弾力性

 為替相場の変化がどれだけパススルーされているかを見るための指標として、パススルー弾力性があります。

  パススルー弾力性 = 価格の変化率(%) ÷ 為替の変化率(%)

 例えば、為替相場が10%増価(円高)したとき、価格が10%安くなったとします。このときには、パススルー弾力性は1となります。

  パススルー弾力性 = -10% ÷ -10% = 1
  
 しかし、為替相場が10%増価(円高)したとしても、価格が5%しか安くならなかったときには、パススルー弾力性は0.5となります。

  パススルー弾力性 = -5% ÷ -10% = 0.5

 このように、パススルー弾力性が1のときには、為替相場の変化は完全にパススルーされているわけですが、1より低いほど、パススルーはなされていないことになります。

 なお、短期的にはいざしらず、長期的には為替相場の変動は価格に転嫁されていくと考えられるので、長期にはパススルー弾力性も1に近づくことが予想されます。
 しかし、実証的には、長期的にはパススルー弾力性は短期よりも大きい値になりますが、0.6など、1にはならないことが知られています。

参考

  佐々木百合『国際金融論入門

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