概要
経済学を学んでいると、
「こんなことを勉強していて役に立つの?」
「何をやっているのか分からない」
「試験のためだから勉強するけど、正直、無駄」
などと思ったりもします。
確かに、私自身もそのように感じたこともあり、そういう側面は多いと思います。
ただ、経済学は非常に学際的であり、一面的に考えれば役に立たないとも言えますが、その一部分は役立つ部分もあるかと思います。
上記のような疑問を持った方に向けて、このあたりについて、説明します。
経済学の有用性
経済学を学ぶことによって、得られるものとして、直接的なものと間接的なものがあります。
直接的な有用性
直接的な有用性としては、職業や生活スタイルによって、人それぞれですが、経済学の分野として、役に立つものはあると思います。
マクロ経済学・金融論
日本経済全体などの動向を知ろうとしたときには、マクロ経済学や金融論などを学ぶことは重要です。
これらを学べば、GDPについてや株式市場などの動向などをある程度、理解できます。
ということは、(政治家や官僚などは別として)株式投資などを行っている人にとっては、役に立つことがあるのでと思います。
個々の株式市場は別として、インデックス投資などを考えたら、日本経済がどうなるかにより、収益は変わってくるので、マクロ経済学的な知識があったほうがいいでしょうし。
また、個々の株式についても、指標としてβ値というものが平気で出てきますが、元々はマクロ経済学・金融論の理論です。株式投資などで当たり前に言われていることが、金融論をもとにしていることも多いので、改めてその意味・意義を理解するのに役立つでしょう。金融論では、株式について実証研究なども行われているので、参考になることがあるかもしれません。
行動経済学
行動経済学は、経済学+心理学といったものなので、日々の生活から、ビジネスをしているならば、経営・マーケティングなどにも利用できる部分があるのではと思います。
例えば、行動経済学において、プロスペクト理論というものがありますが、人間は損失を重くみるという心理があることが分かっています。このような心理を利用したものが、保険会社であるといえるでしょう。(歴史としては保険会社のほうが古いのですが)逆に言えば、人間の損失回避傾向を利用したビジネスモデルが保険というようにも言えます。
この他の応用分野
経済学の応用分野として、農業経済学・環境経済学・労働経済学・教育経済学など、特定分野を中心に研究しているものがあります。これらの分野に関連した仕事や研究をしている人にとっては、直接的に役に立つことがあるかと思います。
関節的な有用性
間接的な有用性とは、直接は役に立たないが、その考えやツールなどは間接的に利用できるというものです。
計量経済学
計量経済学は、統計学の一部分です。ですので、計量経済学を学ぶには、一部、統計学も学ぶことになります。
ビッグ・データ、データ・サイエンスなどが叫ばれていますが、基本的には統計学であり、計量経済学を学べば、データ・その扱いについて、理解しやすくなるでしょう。
そして統計学の一部分なので、他の学問で統計分析を行っている場合でも、理解がしやすい面があります。
また、計量経済学を使い、当然ながら、需要予測などマーケティングなどでも利用できます。
(なお、GDP・株式の予測などで、これまで数多くの研究が計量モデルによって検討されてきましたが、原因・結果に基づいたモデルよりは、単純な確率的なモデルのほうが当てはまりがいいという話もありますが…)
ゲーム理論
ゲーム理論では、自分の行動の結果、相手はどのように行動するかなどを研究しています。
このことから、ゲーム理論をそのまま何かに使うというのは難しいのですが、そのような思考方法を学ぶにはいいように思います。
また、どのようなゲームがあるのかなどを知っておくだけでも、人間心理のパターンなどを理解できたりもするので、いいかもしれません(例えば、乱獲問題は、ゲーム理論で言えば、牧草地の悲劇というゲームになります)。
ただ、しっかりと学ぼうとすると、数学的なので大変ですが、その考えなどは知っておくといいと思います。
メカニズム・デザイン
これは世の中の仕組みなどを研究している分野です。
例えば、就職・お見合いなどにおいてマッチングの仕組みは重要ですが、どのようなやり方がいいのかなどを研究してます。
このため、仕組みを研究しているので、ビジネスモデルなどを考えたい人にとっては役に立つかもしれません。ただ、数学的な部分も多く、難しい面もあり、その仕組みをそのまま使えるかといえば、そうではないかなと思ったりもしています。
まとめ
上記のように、経済学が役立つ部分を説明してきました。
逆に言えば、上記に無関係な人にとっては、
「経済学は意味がない」
「経済学は無駄だ」
と思います。
特に、経済学において、まず学ぶのがミクロ経済学だと思いますが、上記で挙げていないように、ミクロ経済学を学んだだけでは役に立つことはないと思います。
(ただし、上記の分野を勉強しようとすると、ミクロ経済学の知識が必要になってくる部分もあるので、悩ましいところですが…)
ですので、身近な問題や自身が伸ばしたいスキルなどをベースに、経済学においてはどのような研究があるのかを調べて、その分野から勉強するのがいいのかもしれません。
私自身も、学生のとき、何も考えずに大学進学で経済学部に行き、全く経済学を勉強してなかったのですが、ゼミで発表を迫られて、「なぜ家賃が高いのか」ということを調べたのが、経済学を学ぶきっかけでした。
経済学は非常に幅広く、学際的な学問でもあるので、何か自身の問題やスキルアップなどで当てはまる分野があると思います。そして、それでもなければ、経済学は無駄だとして、捨て去りましょう。